美術作家 肥沼義幸の制作日記 -971ページ目

インドの太陽

Today’s one work



美術作家 肥沼義幸の制作日記



この絵を描いた時、6年前インドを旅行した時の事を思い

した。最初、ニューデリーの市内にはマクドナルドなどもあり

これから急発展していく国はどこか当初の印象とずれて

みえた。しかし、旅を続ける内にその考えは吹き飛んでしま

った。


場所は聖地ヴァナラシ、ガンジス川巡礼。この地を訪れた

くて、ここまで来たのだ。ガンジスはどこまでも広く、濁った

この川の奥の深さを感じさせた。


夜のガンジス、ガートでの灯篭流しを終えて、市内にある

安宿まで戻る時に見た風景は、今でも忘れる事はでき

ない。数多くのホームレスが駅の前、地べたに寝そべって

星空を見上げている光景だ。雨季にガンジスの水かさが

増せば、疫病がはやり、まずこのホームレス達から命を

落としていくそうだ。


インドの太陽は朝、穏やかなやさしさを見せるのだが、

日中にかけて人を灼熱に包み込みフェイド・アウトさせて

しまう。もろい・・・そしてなんて太陽は強いのだ。

こんなに太陽を意識したのは、この時がはじめてだった。


太陽という業火に焼かれた人々は、母なるガンジスに

包まれ、何処かに流されていく事を知った。