インドの太陽
Today’s one work
この絵を描いた時、6年前インドを旅行した時の事を思い出
した。最初、ニューデリーの市内にはマクドナルドなどもあり
これから急発展していく国はどこか当初の印象とずれて
みえた。しかし、旅を続ける内にその考えは吹き飛んでしま
った。
場所は聖地ヴァナラシ、ガンジス川巡礼。この地を訪れた
くて、ここまで来たのだ。ガンジスはどこまでも広く、濁った
水がこの川の奥の深さを感じさせた。
夜のガンジス、ガートでの灯篭流しを終えて、市内にある
安宿まで戻る時に見た風景は、今でも忘れる事はでき
ない。数多くのホームレスが駅の前、地べたに寝そべって
星空を見上げている光景だ。雨季にガンジスの水かさが
増せば、疫病がはやり、まずこのホームレス達から命を
落としていくそうだ。
インドの太陽は朝、穏やかなやさしさを見せるのだが、
日中にかけて人を灼熱に包み込みフェイド・アウトさせて
しまう。もろい・・・そしてなんて太陽は強いのだ。
こんなに太陽を意識したのは、この時がはじめてだった。
太陽という業火に焼かれた人々は、母なるガンジスに
包まれ、何処かに流されていく事を知った。