次を描く事 | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

次を描く事

 

 

木炭紙のストックがなくなったので、再びモノタイプ(版画)と

水彩でのドローイングを始めました。

 

ここ1ヶ月「描かなければ!」という意識はあるが、

身体と心がそれを臨んでいない時がある。

僕は怠け癖がある。そして昔からモチベーションが高い時と低い時

の差が大きい。だから低い時に何をするかが大切だと考えています。

 

モチベーションが低い時。

本を読み、映画を観て、外に出て人に会い、美術館とギャラリー

に行く。何か心に引っかかるヒントやインスピレーションを

貪欲に求めて、すぐに行動できる人になりたい。

それが理想!今の自分はその切り替えが上手くいかない。

 

自分の怠け癖を思う時、アウトサイダー・アーティストのように

常に手を動かし、【衝動】を形にできるアーティストを心底羨ましく

思い、また尊敬している。

 

~ シュヴァルの理想郷 ~

 

フランスの郵便配達夫、フェルディナン・シュヴァル(1836ー1924)

は《不思議なかたちの石》につまずいた事をきっかけに実に33年間に

渡り、自身の理想とする建造物を創ることを続けた。

雨の日も風の日もシュヴァルは一日平均30キロを歩き、郵便配達の

仕事が終わった後で手押しの一輪車で石を運び、奇妙な創作の時間を

むかえる。周囲の村人からは白い目で見られていたらしいが、

強靭な肉体と圧倒的な精神力がなければできない諸行である。

 

結局のところ、

「 誰に何を言われようとどんな状況に押し込まれようと、取り巻く

環境に対抗するには『次をつくることの中にしかない』 」。

大竹伸朗さんが2013年10月号の美術手帖でのテキスト「遠景の初心」

で言っていたこの言葉は、今でも僕の意識の底に貼り付いている。