モノタイプ | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

モノタイプ

 

 

2月後半、ロッテルダムは良い天気で暖かい日が続きました。

4、5年前から冬は足先の冷えが酷く、寒くなると足先に若干の痺れが

ある日もありました。靴下に貼るホッカイロで寒さを凌ぐ日々。

ここ数日は気温が上がり冷えもなくなり、ありがたい。何より仕事を

する気力が湧いてきます。春の訪れが待ちどうしい今日この頃です。

 

2月は主にコラージュとモノタイプを製作しました。

モノタイプは、アクリル版にローラーで直接インクなどを描画し、

その上に紙をのせて圧力をかけることにより、版に描写したイメージを

紙に転写する版画技法です。一般的な版画の特徴である同一作品の

複数性(エディションを作れない)はないので、同じイメージを2枚以上

作る事が出来きない版画表現です。

 

版画工房に行く必要もなく、手軽に制作できるからと試みたモノタイプ

でしたが、どのような紙を使用するのか、インクをどれくらいのせる

のか、圧力の強弱などなど。ジワリとその奥深さを感じ始めています。

紙に描いたイメージも反転するし、いったいどのような絵になるのか

アクリル版と紙をはがしてみるまで、明確な想像ができません。

コントロールが効かない・・・いや作者の意図=「作意」から外れる

(逃れる)その面白さに惹かれている。

今のところ、10枚描いて(刷って)1枚面白いイメージがあればいい

かなぁと。失敗作の積み重ね、そこが面白い!

 

こうして、モノタイプの作品を眺めるていると10年以上前に制作して

いた木炭で描いた作品を思い出し、何処か懐かしい感情があります。

もしかして1周して(形を変えて)ここに戻ってきたのか。

そんな気もしています。