弁財天 美しい白蛇 | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

弁財天 美しい白蛇

 

僕がその美しい白蛇と出会ったのはドイツ、アッシャースレーベンに

着いて2日目の事だった。市内を散策中に年季の入ったペットショップを

見つけ、そのペットショップのウインドディスプレイ越しに1匹の白蛇を

見る事ができた。ふと、数ヶ月前に訪れた川越熊野神社、

4つの摂末社の内の厳島神社の鳥居をくぐり、右手にある白蛇神社での

強烈なデジャブ体験を思い出した。

 

神社を巡るのは僕の趣味なのですが、絵を描いているので芸術の神、

弁財天は自分にとって特に大切な神様だと思っています。

そして、アッシャースレーベンで弁財天の化身である白蛇を

ウインドディスプレイ越しに見つけた時、勝手な思い込みかもしれません

がやっぱりここには導かれてやってきたように思え、その白蛇に不思議な

シンパシーを感じていた。

 

それからほぼ毎日、スタジオへの行き帰りに白蛇に挨拶する日々が

始まりました。白蛇を見ているうちに、そう言えば今までに神様は

描いた事がないなぁ~と思った。神道と仏教は深く自分の中にねずいて

いるはずなのに神様を描くことは畏れ多いというか、確かなリアリティが

持てなかったのかもしれない。

しかし、弁財天は女性の神様だし、美しく…いや楽しみながら描ける

のではと思った。そして、今がそのチャンスなのかもしれないと。

 

メイン・モティーフの弁財天と白蛇を中心にアッシャースレーベン動物園

で出会った動物達をからめ、運命の巡り合わせや死生観、

リインカネーション(輪廻転生)をテーマにした作品となった。

全体的にカオス的というか、まとまりに欠けた印象があるが自分の中で

描き切った感が強く、完成とした。

 

果たしてこの土着的なテーマがここドイツでどう捉えられるのか

まったく分からないが、ドイツの薬局のマークに白蛇が描かれている

のが気になり調べてみると、もともとギリシャ神話(アスクレピオスと

いう医術の祖の逸話)から由来したものであり、それには蛇の脱皮が

生まれ変わり、再生、傷を治すという意味合いから薬局のマーク

として使われていることを知り、この作品を描く上で大きく後押し

してもらえたように思う。

 

作品のタイトルは『 Soul Sacrifice - Black Magic Woman and 

White Snake 』(※このブログ記事に載せている作品では

ありません。)サイズは300x190センチ。描きながらサンタナの

「 Soul Sacrifice ( ウッドストック ライブ 1969 )」を聴いていた

事と弁財天はサンタナの名曲「 Black Magic Woman 」をイメージ

して描いたので、タイトルにもつけさせてもらった。絵の中で、

弁財天はヒッピーというかジプシーのような洋装をしているが、

もともと弁財天はインドの神、サラスヴァティなので学生の時に旅を

したインドの風景を思い返して描きました。

明日16日のオープンスタジオではこの作品の他にスタジオも広いので

大きな作品を中心に発表したいと思います。