The Power of Music / 画家はシャーマンである | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

The Power of Music / 画家はシャーマンである

 

ドイツ、アッシャースレーベンでの滞在制作も折り返し地点。

少しずつ作品の方向性が見えてきているような気がします。

先週の中間発表会の時。隣のスタジオで制作しているドイツ人

アーティストのダニーから「 Yoshiは制作中、いつもイヤホンで

音楽を聴いているけど、足でリズムをとったり、鼻歌を歌ったり、

時に踊っている時もあるよ。気がついてた?」と言われた。

 

そうダニーのスタジオと僕のスタジオはバルコニーで繋がって

いて、全面ガラス越しに僕の制作風景が見えるのである。

ちょっとはずかしくなったが「 Yes. I love music !! 」と答えて

おいた。その後、他のレジデンス・アーティストがどんな音楽

を製作中に聴くのか?またその効果は?という興味深い話題に

なりました。

 

昔から絵を描く時に音楽を聴く。気持ちを高めるという意味も

あるが、それにはトランス的効果も確かにあるだろう。

また、僕にとっては一種の「まじない」のようでもある。

画家の横尾忠則氏は著書の中で「画家はシャーマンである。」

とおっしゃっていたが、音楽を媒体に霊性を身体に宿して

絵を描くという意味に解釈すると良くわかる例えだと思った。

 

やがて音楽は消えていき、自然に右手が動いている。

意識と無意識が交じり合う特別な瞬間。

まるで、出来の良いマジックを見ていたようにあっという間

に絵が出来上がっている。

自分にとって音楽とは、とても大切な画材のような...

いや共に製作を支えてくれるパートナーだと思う。

絵が仕上がった時、いつも「音楽の力」に感謝している。