The World map in my heart ・レジデンス中間発表 | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

The World map in my heart ・レジデンス中間発表

 

自宅のキッチンの壁には大きな世界地図が貼ってあり、

料理の合間にラジオを聴きながらそれを眺める。

今までに旅した国、そしてこれから旅をするであろう国を

思い描きながら。

 

色々な国を見てまわりたい。そう昔から思っていた。

とはいえ、現実的に全ての国を見てみたいと思えるのは

某女性タレントのように特別な運とガッツがなければ、

そして何より職業としての旅人でないと思い描けない夢

かもしれない。

 

しかし、実際にその国に行かずとも世界地図を眺め

時間がゆるす限り、その国のことを想像することは可能である。

もちろん、実際に足を運び五感で体感するリアリティを

得られることが一番に違いないと思うのだが。

 

先日、ドイツの滞在制作しているレジデンスで中間発表会が

あり、僕を含め4人のアーティストとコーディネーターが

それぞれのアーティストのスタジオを周り、各アーティストが

ここ1ヶ月で制作した作品を観ながら、作品のコンセプトを語り

最終的なプレゼンテーションとして8月16日のオープンスタジオ

と8月24日からのグループ展に向けてどのような作品を制作して

いくのかを報告する機会があった。(ワインを飲みながら

大変リラックスしたムードの中で行われた報告会になりました。)

 

皆に僕のスタジオで絵を観てもらった時に「 Yoshiの作品からは

日本的な(たぶんポップな日本文化のこと言っていると思う)

影響よりも色々な国のカラー(スパイス)をごちゃ混ぜにした

作品だね(あくまで好意的な意見だった)」。

また「アフリカ的なフォルムや色彩。」であるとも言われ

とても新鮮な意見で、僕は動物園でしかキリンやトラを見たこと

がないけれど、いつか実際にサバンナで野生動物を見てみたいと

思った。

 

たとえその場に足を運ばなくても現代ではテレビ、雑誌や

旅行記などの本、インターネットから得たイメージを自分の中で

仮想的にミックスしている事に気がついた。

どうやら心の中にはもう一枚の世界地図があり、マッピング

していたという事だろうか。

 

フランスの画家、アンリ・ルソーは実際に見たこともない

密林を描くためにパリの植物園に通い、独自な密林風景を

描くことに成功した。ルソーの密林を描いた絵画からは

動物達、そしてジャングルの息吹が存在しているように思える。

僕もルソーのように「絵でしか描けないリアル(息吹)」を

このドイツ、アッシャースレーベンの滞在制作の中で描きたい

と思っています。