「 猪熊弦一郎のおもちゃ箱 やさしい線 」を読んで | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

「 猪熊弦一郎のおもちゃ箱 やさしい線 」を読んで

 

旅に持っていく本を選ぶのはいつも楽しみだが、果たしてこの本で

よいのだろうか、荷物が重くなるだけになってしまわないか、

パッキングの最後まで迷う時がある。今回、3ヶ月のドイツ滞在

では結局4冊を持っていくことにしたが、その中の1冊

「 猪熊弦一郎のおもちゃ箱 やさしい線 」

( 文:小宮山 さくら、小学館 )を繰り返し読んでいる。

 

画家の猪熊弦一郎氏の絵画は美術館で幾度か拝見することが

あったが、この著作を読み、画家の歩んだ歴史を踏まえた上で

もう一度じっくりと猪熊氏の絵画を観てみたいと強く思った。

本屋でこの本を見つけた時、なぜかこの本はドイツ滞在中に

読むべきだと思ったのだが、それは正解だった。

今の自分の状況に猪熊氏の言葉が響いてくる。

 

猪熊氏は35歳でパリへ。戦争のため2年の滞在で日本に帰国。

その後、三越の包装紙やパブリック・アートなどを制作。

52歳の時、ゼロから絵の勉強をするためにニューヨークへ。

20年住んだニューヨークを病気のため、日本に帰国。

その後はハワイにもアトリエを構え、日本とハワイで晩年まで

制作活動に励みました。

 

52歳でニューヨークか...すごい行動力です!

 

猪熊氏の本の最初のページに「 画家は自分のすきなもの、

愛しているものをよく絵にかくんです。愛しているところ

に美があるからなんです。愛情と美は、はなれることが

できません。  猪熊弦一郎 」とありました。

 

紙の上で手を動かせば自然とその形が浮かび上がるもの、

自分にとっては動物がそうなのかもしれません。猪熊氏も

猫をはじめ、たくさんの動物を描かれました。いつか

香川県丸亀市にある猪熊弦一郎現代美術館を訪れてみたい。

また1つ、自分のトラベル・リストが増えた事を嬉しく思います。