Out of Control | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

Out of Control

 

2017年、新日本プロレスの夏の祭典G1クライマックスは

ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン、制御不能のカリスマ

内藤哲也選手の優勝で幕を閉じた。ケニー・オメガ選手との

決勝戦は両者とも凄かった!! とくに同年代の内藤選手の活躍は

嬉しくもあり、制御不能なプロレスを展開し、お客様を魅了する

新日本のトップスターとなった内藤選手がこれからどのような

物語を作っていくのか楽しみにしています。

 

プロレスは四角いリングの上でルール(5秒以内だったら反則可

という特殊なものですが)を踏まえた上で選手達が戦い物語を

作っていく。選手達の相性により試合展開が変わっていく様は

面白いし、長期にわたり好きな選手を応援する中で、どう選手が

変わっていくのか。それが子供のころからずっとプロレスを好き

であり続けている理由でもあります。

絵画も基本的には四角い紙やキャンバスの上に絵を描く。

プロレスとの違いはそこに戦う相手がいなく、自分が描いた線や

画面においた色の交わり合いから美しい形を見つけ、それを繋ぎ、

時に壊しながら絵画という物語を創っていく。

 

日々、絵を描いていると自分の意思とはまったく逆にいつの間

にか絵が完成している時がある。抽象画家のカンディンスキーが

スタジオに戻った時に自分のスタジオに1点とても美しい作品が

ある事に気がつき、その絵に近寄ってみると描きかけの作品を

上下逆さまにして壁にかけておいた絵だったというエピソード

は有名。そんな自分の意識の外で出来上がったもの、

制御できない意識というものは時に(それが全てではないが)

不思議に美しいものを生み出してしまう。