記憶の重さ・世界一うつくしい昆虫図鑑 | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

記憶の重さ・世界一うつくしい昆虫図鑑

今月末に引っ越しをしなければいけないので、時間がある
時をみつけて少しずつパッキングをしています。
この際、いらないものは全て処分してしまえと思うのでの
ですが失敗作も含め、なかなかその判断は難しくもあります。


こうしてスーパーから貰ってきた段ボールに私物をつめる
作業をしているとなんと画集、図鑑の多いことか。
これらはずしりと重く、そしてまたオランダに住み各国を
旅行した時に集めてきた記憶の重さなんだと思う。


スタジオから戻り夕食をとった後は、ドローイングをする
か画集や図録を見る時間。ロンドンで買った画集を開くと
あの時は雨が降っていたとか、友達とバーで飲んだビール
が美味かったとか、僕にとっては旅行先で撮った写真を

見返すよりも画集を見ることが過去の記憶に繋がっている

ような気がする。


この夏、日本に滞在していた時に一冊の昆虫図鑑に
出会った。



      


              「 世界一うつくしい昆虫図鑑 」
            クリストファー・マーレー(著) 宝島社


この図鑑の昆虫達の色彩の美しさとその奇妙なフォルム
に魅せられ購入を決意した。貧乏画家にはずしりと財布
に重い値段だったが、画集や図鑑との出会いは
「一期一会」の考えに従った決断は正しかった。


ここ数日、寝る前にこの昆虫図鑑を見返している。
緑色に光り輝くコガネムシ、美しい色彩を持つ蝶、無駄を
省いたクワガタ虫のフォルムを見ていると子供の頃の記憶
が網膜の内側に映し出される。そんな時、自分の好きな
ものは昔からずっと繋がっているんだなぁと思うのです。