エドヴァルド・ムンクになった時 | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

エドヴァルド・ムンクになった時


美術作家 肥沼義幸の制作日記




美術作家 肥沼義幸の制作日記



ロッテルダムにある美術館Kunsthal で開催されている

エドヴァルド・ムンク展を観てきました。


ムンクは僕の大好きな作家の1人でもあります。

今回の展示は油彩と版画作品で構成され、作品数は

少なめでした。しかし、僕には収穫がある展示でした。


1881年からの数年間に制作されたアカデミックな作品と

89年からの作品には大きな違いがある。

それはムンクがノルウェー政府の奨学金を得てパリに

留学をして、ポスト印象派から影響を受けた事にある。

しかし、それ以前にもムンクは独自の画風を研究し、

85年に「病める子」を描いていたことからも、彼の独自の

画風を研究していた姿勢が感じられる。


代表作「叫び」は1893年、ムンクが30歳の時に描いた

作品だ。もう、その時にはムンクは過去のアカデミック

な自分を完全に捨て去り、ムンクが本当の意味でムンク

なった時期であろう。


また、約20点から構成されていたリトグラフの展示が

特に印象的でした。

ムンクは、絵画を壁面に1点1点距離をとり、同じように

展示するのではなくて時に連作を制作し、常に新しい

絵画の展示方法を考えていたのではないかと思う。