顔の無い犬 ( 衝動 ) | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

顔の無い犬 ( 衝動 )


美術作家 肥沼義幸の制作日記



ライクスでの2年間の滞在中、時間がある時にセラミックの

作品を作っていました。


最初は、試行錯誤の連続で思った色が焼き上がりの段階

で出ずに、がっかりしてしまったこともあったのですが、最近

では失敗したら、また上から釉薬を塗って、下地の色と上に

重なる色が、どう変化していくのか、実験をする事が楽しく

なってきていました。


ライクスの滞在はもう少しで終わりですが、セラミックの

作品をこの機会にたくさん作れた事は大きな経験となりま

した。


日本には伝統的な陶器の歴史があります。先の事になる

でしょうが、日本の陶器の歴史を学び、西洋と東洋の陶器

の違いを検証し、上手く自分のテイストとミクストできたらと

思い、夢は膨らみます。


上の写真の作品は、はじめ犬の頭部を作っていたのです

が、どうしても顔の形態が上手く表現できず、苛立ちという

か、衝動的に顔の部分を取り外してしまったのです。


その瞬間、あぁ・・・おさまるべき犬の顔の形態は、顔が

無い犬だったんだと思い、妙にしっくりきたのです。なので

そのままの状態で焼いてみました。


セラミック作品の工程は、形を作る造形要素と、色をつけ

窯に入れ、後は火に任せるという、2つの工程が上手く

合わさらないといけない難しさがあり、陶器の奥の深さを

痛感しています。