濁流 | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

濁流


美術作家 肥沼義幸の制作日記



どうやら僕は濁流にのみ込まてしまったようだ。


思い気って目をあけてみる。


こげ茶色の水が、もの凄い勢いで僕の身体を包みこみ

孤を描いて、僕を下へ下へと連れこむ。


息ができない事が、こんなに辛い事だったとは・・・

意識が遠のくなか、僕は小学生の時の水泳の授業を

思い出した。


衣服を着たままプールの中に入り、そのまま泳いでみる

という授業だった。体中の部位がとてつもなく重くなり

前に進む事はできなかった。


授業の終わりに先生はこう言っていたっけ。


もし、川や海で溺れた時は無理に体を動かさないように。

体力を消耗してしまうから。水面に顔が出せるようなら、

そのままパニックにならずに浮かんでいる事。


僕はこの流れの中で水面に顔を出し、あの当たり前の

ようにしていた呼吸を再開する事ができるだろうか。。。