濁流
どうやら僕は濁流にのみ込まれてしまったようだ。
思い気って目をあけてみる。
こげ茶色の水が、もの凄い勢いで僕の身体を包みこみ
孤を描いて、僕を下へ下へと連れこむ。
息ができない事が、こんなに辛い事だったとは・・・
意識が遠のくなか、僕は小学生の時の水泳の授業を
思い出した。
衣服を着たままプールの中に入り、そのまま泳いでみる
という授業だった。体中の部位がとてつもなく重くなり
前に進む事はできなかった。
授業の終わりに先生はこう言っていたっけ。
もし、川や海で溺れた時は無理に体を動かさないように。
体力を消耗してしまうから。水面に顔が出せるようなら、
そのままパニックにならずに浮かんでいる事。
僕はこの流れの中で水面に顔を出し、あの当たり前の
ようにしていた呼吸を再開する事ができるだろうか。。。