「自分に素直になること」 | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

「自分に素直になること」

美術作家 肥沼義幸の制作日記



1つ前の日記の続き。


1985年1月7日


「目が覚めると同時に苦痛が始まる。狛江スタジオに入った

のは12時だった。絵を眺めている時間が無意味に過ぎ

る。手も足もが出ない。マチスの『画家のノート』を読む。

啓示は思わぬところからやってきた。ワラをつかむ気持ち

から開いたマチスの本が救いの神になるとは・・・・・。

『自分に素直になること』。この言葉が突破口を拓いてくれ

た。素直になってみれば、冒険心と探求心を忘れている

ことに気がつく。作品はみるみる発展していく。やっと地獄

からの脱出ができた。少しは気分がいい。」


「横尾忠則の画家の日記 1980~1987」アートダイジェスト

から抜粋。



「自分に素直になること」。


実はこれが一番、難しいのではないだろうか。

人に見てもらう事を前提に作品を作る時、どうしても

様々な雑念が、作品に向かう自分を包んでいるのを

感じる。また、人それぞれ見方というのは違くて当然なの

で、時にそのアドバイスに縛られてしまう事もある。


展示では、作品を人に見てもらうのだからクオリティを

考えて制作する事は大切な事だと思う。

しかし、同時になんというか実験的な態度「勢い」というもの

が、ふと自分の中に沸々と感じられた時、

それはやはり「自分に素直になること」。周りがNOと言った

としても、最後は自分の直感に従うべきと思うのだ。