捨てられない筆 | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

捨てられない筆

1年前にアムスに来る時、荷物が重くなってしまうので

使用していた画材の全てを持ってくる事は不可能だった。

なので、筆とナイフだけは使い慣れた物を選んで持って

きた。



美術作家 肥沼義幸の制作日記



この筆は、もう10年以上使っていると思う。

筆は消耗品なので毛先が抜けてきたら捨てて、新しい物

を買うのがセオリーだが、前にフランシス・ベーコンは

あえて幾つかの筆は洗わずに絵の具でカチカチに固まって

しまった筆を残し、ここぞという時にその筆で直線を描いて

いたという記事を読み、それ以降、なんだか筆が捨てられ

なくなってしまった。


上の画像の筆は画面上で仕上げ段階。

ここぞという時、僕にとっては淡いグレートーンを作る時に

必須のアイテムとなっている。



美術作家 肥沼義幸の制作日記



昨年、アムスの画材屋で平筆・豚毛油彩用の筆の良い

物を見つける事ができなかったので、日本に一時帰国した

時に今後のストック用に3本の平筆を購入した。

上の筆のような状態になるには長い月日が必要なので

これから頻繁に使おうと思う。


この使い古した筆を改めて見た時。

5年、10年後も絵を描き続けていたらいいなぁと思った。



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