白いキャンバス | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

白いキャンバス

美術作家 肥沼義幸の制作日記



大きめのサイズのキャンバス3枚を用意し、壁にかけて

早3日が経った。まだ画面に手を入れられずに、じっと

白いキャンバスを眺めている。


よく思うのだが、このまま白いキャンバスの方がいいんじゃ

ないかと・・・なぜモティーフを選びそこに絵を描くのか?

そんな当たり前の根本的問題を問われた時、明確に答え

事はかなり難しい。


そこに白いキャンバスがあるからとでも答えればいいの

だろうか。自問自答を繰り返す。


絵との距離が、日ましに離れていってしまうようだ。

描きたいモティーフは決まっているのだけれども・・・

まだ耐える時間だ。


制作時間を長く掛ければ、良い絵ができるという訳では

ない。特に僕の場合は頭で考えだすと、とたんに絵が死ん

いく。瞬間瞬間に画面上で起こる事態を、さっと感覚的

判断し、線と色で描く。そんな早描きが自分には合って

いると思う。


だから、描き始めのタイミングは非常に重要なのだ。

今日は描けるというタイミングを自己判断し、勇気を持って

画面に向かう。


上手く描く必要などは全くない。万人に好かれるような絵で

なくとも良い。ただ、描きあがった絵が息をしてくれていたら

それで良いと思うのだ。