3 legs dog | 美術作家 肥沼義幸の制作日記

3 legs dog

美術作家 肥沼義幸の制作日記



僕が3本足の犬に出会ったのは、10月のよく晴れた日

だった。その日、僕はどうにも仕事がはかどらず気分転換

に画材屋にも行こうかと外に出た


画材屋で手早く用事をすませ、近くにあるCDショップ

入った。そのCDショップは思ったより大きく、店員さんに

「ロックのコーナーはどこですか?」と聞いた。


どうやら地下にあるらしく、足早に階段を降りていった。

店内はいい感じに暗く、KISSの映像が大きなモニターに

流れていた。


ふと、店員お勧めのラックに目をやると、3本足の犬が

僕を冷たく見つめていた。


「 何だこれは!! 」


背中に衝撃がビビりと走った。

僕は1分間ぐらいそのCDを手に取ることができずに

ただ眺めていた。


面白い。

この犬は僕が描かなければならないと勝手に思った。

早速、スタジオに戻り拡大画像をプリントアウトし、距離を

とって、もう一度眺める。


こんな時は無音が一番だ。

不思議な事に完成までのプロセスは頭の中で既に

出来上がっていた。

これは、きっといい絵になる(上の絵ではありません。)

根拠のない確信があった。


どうにも上手くいかなかった制作途中の2枚のキャンバス

を白ペンキでつぶす。さぁ、再スタートだ。


3日で完成した犬の絵の片目は、何も語らず僕を見つめ

いた。