2分間の帰路
行って帰ってくる道。
僕にとってはスタジオとアパートメントの往復なんだけれ
ども、たった2分間の帰路は、とても重要な僕の生活の
一部となっている。
僕はわりかし、歩きながらモノを考えるのが好きだ。
だからあまり自転車には乗らず、なるべく歩く事にしている。
哲学者のサルトルは毎日散歩をかかさずして、自身の
思想を深めていったという事を以前、本で読んだのを
思い出した。
制作を終えた夜、雪が積もり、幾つもの足跡が刻まれた
道を歩く時。今日は上手く描けなかったと「軽い絶望」を
感じ、それと同時に明日は挽回するぞ!という
「微かな希望」が生まれる。
僕は2分間ただただ歩きながら、ぐっと耐える。
しかし、不思議なものでバタンとアパートの扉を開けた瞬間
に僕の思考は「 今夜は何を作って食べようか~ 」に
変わってしまう。
今日もまた助かったと安堵する。
何にせよ、「食」には勝てん!といつも思うのだ。
だから、明日も続けられるのだろう。