映画 『ヴィヨンの妻』~桜桃とタンポポ~ | ミセス・ぽわん の “きょうもありがとう”

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2006年6月ブログ開始。(きっかけは病気・・)
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ミセス・ポワンの “きょうもありがとう”


きのう、娘yukaと見に行った映画が、この『ヴィヨンの妻』でした。


私にとって・・・☆☆☆☆☆ でした。


昨夜、床に入っても、

きょう、仕事をしてても・・

頭の中に、きのうの映画のいろんな場面が浮かんできました。


なんでなんだろ?

これは、不思議な感覚です。


まだ公開されて間がないので、ネタバレさせてはいけないので、

あまり書けないのが残念なのですが、

  (でも、書ける時がきても、うまく書けるわけはないのです・・けどね。)



見終わったあとに余韻が残るんですよね~。

上質の映画を観た・・という感覚があります。



映画には、サブタイトルがついています。

    ~桜桃とタンポポ~


上の画像にも、男の手にさくらんぼ(桜桃)があるでしょう?

映画のさいごに、この桜桃を男が口に含みます。


『子供に食べさせる為に貰ったサクランボを、私は食べている・・』

  と言って、自虐的に、けれど、美味しそうに次々とサクランボをほおばる大谷。

そして、種をプッと吐き出します。


すると、妻は、夫の手にあるサクランボをつまんで口に含み、同じ様に種をプッと吐き出します。

  (種をプッと吐き出すなんて、お行儀悪いことだけど、そう感じさせない。)


『美味しい~』・・と、とっても美味しそうな表情で言う妻の佐知。

観ているわたしも、口の中に甘い果汁が広がってくるような・・。


この少し前に、愛人と心中事件を起こしている大谷。

新聞や雑誌に沢山の批判が書かれ、それを目にして傷ついている大谷に、

佐知が言います。


『人非人でもいいじゃないですか。

    私たちは、生きていさえすればいいのよ。』



根岸監督は、

『ラストの佐知のセリフを言わせるためにこの映画は存在している。』と語ってます。


あっ。これ書いたら駄目だったかな?

ごめんなさ~い。。



タンポポに関しては、こんなセリフがありました。


タンポポの花一輪の信頼が欲しくて・・

チサの葉一枚の慰めが欲しくて・・


なんか、ぞくっと来ました。

こんなこと、

太宰だからいえる言葉ですよね~。



松たか子さんも、浅野忠信さんも、とてもよかったです。

とても魅力的に演じていました。

特に松さん。

もともと好きな女優さんでしたが、もっと好きになってしまいました。

   (ぎゃバッチ、ファンだったよね・・・・・。)



で、もう一つだけ。

万引きをして警察で取調べを受けるところ・・

この映画の中で、私にとっては、

  一番、衝撃的で、驚きで、面白くて、そして感動した場面でした。。


好きな人に、マフラーをあげたいな・・と思って、ふら~っとマフラーを万引きしてしまった自分。

警察官に一生懸命訴えます。


『私を罰してはいけません!

わたしは、23年間、ずっとまじめに働いてきました!

それを、たった1回の万引きで、人生を狂わせてしまうことは、してはいけません!』


・・と、おかしな理論を、毅然として言うのですが、

そうよね~と、つい思わせてしまう・・松さんが、凄いと思いました。

でも、これって一理あると思う。

たった1回の一瞬の過ちで、

  それまでのまじめに生きてきた長い人生まで否定させられるのっておかしい。

     (ん?私まで、おかしなこと言い出した!)



そして、偶然これを見ていた大谷は、この佐知に惹かれていくのです。

佐知のこの生き方に、強烈に惹かれたのだと思います。(わたしは・・そう思った)

どこか、自分と似たものを感じたのかも・・

このおかしな理屈は、大谷にも通じるものがある・・。




この映画は、

太宰治の生誕100年記念の(?)映画でもあるようです。

一言で言えば、夫婦の物語り・・・かな~?



夫婦ってなんだろ?

愛するってどういうこと?

人を理解するって・・・?

人を許すって・・・?

そんなことを考えていまいた。


才能はあるけど、飲んだくれで、原稿料は全部酒に変わってしまう。

女好きで、盗みまでして、どうしようもない亭主と、なんで佐知はいっしょにい続けられるのか・・?

と、ふつうは思うけど・・、見てる側としたら、それは全然不思議なことには思えない。


佐知は、惚れてるんですよね。

周りから見たら、とんでもない男だけど、

精神が堕落してるわけではなく、心の奥がとても綺麗なこと、分かってるんだろうな・・。


飲み屋の飲み代をずっと払わないでいて、しかもお金を盗んで逃げたという亭主の行動を聞いたとき、

ふふっと思わず笑ってしまう佐知が、いい。

何て事をするの?・・ではなく、あの人らしいわ・・って思ったんだろうなあ~。

佐知は、誰よりも大谷を理解し、誰よりも大谷をに惚れてる。


この腹のくくり方が、なんともかっこよくて、気持ち好い!

ああいう女性だったら、男たちはみんな好きになってしまうわー。


大谷は、弱さも情けなさも、醜さも、何もかもをさらけ出せる相手が佐知であって、

帰る場所は、佐知の懐しかない・・と知ってるのだろうな~。


ラスト、桜桃を食べながら、手を繋いで歩き出すふたりに、

希望の灯が見える・・・そんな映画でした。


        <以上、↑少し、追記しました。。>



なんか、独りよがりな文章を書いてしまいましたが・・

うまく伝えられません。


気になったら。。観られることをお勧めします。

とってもいいですよ~。



太宰治は、

  若い頃、結構ミーハー的な感覚で何冊も本を読みました。

『走れメロス」

富嶽百景』 は、教科書に載っていましたよね?

他に・・

『斜陽』 『人間失格』 『パンドラのハコ』 『トカトントン』 『桜桃』 『キリギリス』などなど。


読みやすい文章で、一気に読み続けてしまう魅力があります。

暗い内容でも、どこかユーモアがある。

『富嶽百景』の

  ”富士には月見草がよく似合う” は、有名ですが、

記念写真を頼まれて、カメラのシャッターを切るのですが、

女の子(ふたり?)は、写さず、富士だけを写す・・

  というのも、茶目っ気があって、笑ってしまいます。




消化不良の感想文で、申し訳ないのですが、

また、太宰を呼んでみようかな~などと思ってる私です。



きょうは、院外の仕事で、帰りは、午前様直前でした。

みんな、暑くて(熱くて)~!!!!帰るに帰れませんでした~。

ふう~~~。。



では、

    おやすみなさ~いドキドキ


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