夢幻のような世界が無限に繰り返される。フラクタルの世界に入り込むショートフィルム "Recurrence"(循環・回想)

2017年08月31日 ι コメント(9) ι 動画 ι サブカル・アート ι #

 

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 作曲家、坂本龍一氏の8年ぶりのアルバム『async』が発売された。このアルバムは『架空のタルコフスキー映画のサウンドトラック』というコンセプトによってつくられたものだ。

 発売に伴い、『坂本龍一 | async 短編映画コンペティション』が開催されている。出品された作品の中から、Julius Horsthuis 氏の "Recurrence"(循環・回想)という作品をご紹介しよう。

 "Recurrence" のテーマは「フラクタル」である。フラクタルとは、「図形の各部分と全体像とが相似である」という状態だ。ある図形の一部分を切り取り、拡大すると、そこに全体像と同じ図形が現れてくるのである。

 

手が届きそうで届かない、夢幻のようなフラクタルの世界


Recurrence

 全体を俯瞰する。この不思議な街の詳細が見たい。注意を細部に切り替え、つぶさに眺めていく。

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 細部の中に入り込むべく、視点が近づいていく。どこか懐かしさを感じるその風景は、しかし、視点が近づくほどに拡大され、また新たな俯瞰像を見せてくるのだ。
 

そしてこれは私が夢見たもの、私が夢見るもの
そしていつか再び夢見るであろうもの

すべては繰り返される すべては再編成される
あなたは夢見るだろう、私が夢見たもののすべてを――

(アルセニー・タルコフスキー)



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 しかし近づくほどに、さらに小さく細かい街であることが見えてくる。訪ねたいあの家に辿り着くことはないのだ。

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 であるならば、最初に「全体像」だと思って見ていたものは何だったのだろうか?その外側にさらに大きな全体があるかもしれない。我々が住む世界もまた、大から小へ、外から内へとつながる流れの一部であるかもしれない。

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短編映画コンペティションについて

 『坂本龍一 | async 短編映画コンペティション』は、アルバム『async』から1~2曲を使用し、「サウンドに合わせて映像を創る」コンペティションだ。"Recurrence" の途中で流れるナレーションも曲の一部なのである。

 詳細はウェブサイトに記載があるが、メイン2つの賞に続き、「オーディエンス賞」がある。この賞は、9月30日までの各動画の再生数、"Like" 数を算出して授与される賞だ。出品されたほかの作品の一覧もあるので、坂本龍一氏の音楽に合わせたとりどりの世界を楽しみ、投票する(要ログイン)こともできる。

 あるいは、様々なフラクタル世界を旅したいなら、Horsthuis 氏のウェブサイトにはフラクタルをテーマとした動画が数多く揃っている。

via: sploid / The Awesomer / Julius Horsthuis / Ryuichi Sakamoto | async International short film competition など / translated by K.Y.K. / edited by parumo

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(2017年8月2日)