驚異的な装甲、レーザービームやレールガンで反撃 Ⅱ【中半】

 

 レーダーで敵弾を探知し、発射体と呼ばれるものが車体斜め上へ飛翔し、EFP(自己鋳造弾)を発射、敵弾を破壊するというものだ。現在、APFSDS弾にも一部有効だとするロシア側の情報に対し旧西側諸国の軍事専門家らは懐疑的な意見を持っているが、ロシアが今後改良を重ねていくのは間違いない。

APFSDS弾が装甲に命中した際の威力を示す展示物。APFSDSの周りにあるのがサボ(装弾筒)=2002年10月、ドイツ・コブレンツ、岡田敏彦撮影

APFSDS弾が装甲に命中した際の威力を示す展示物。APFSDSの周りにあるのがサボ(装弾筒)=2002年10月、ドイツ・コブレンツ、岡田敏彦撮影

 ミリー参謀総長は、こうしたアクティブ防御を新型戦車に採用する必要があると強調。加えて斬新な軽量装甲の必要性にも触れた。戦車や歩兵戦闘車の総重量の軽減は、空輸を含めた迅速な展開を可能とするほか、橋梁や道路などの重量制限をクリアできる。

 火薬から光、電気へ

 一方で主武装には、火薬を用いた大砲に別れを告げる可能性がある。ミリー参謀総長はレーザー光線やレールガンの技術に触れてその優位性を強調した。レーザー光線は既に米軍が実証実験を繰り返しており、ネックだったサイズについても、軍需企業大手レイセオンが小型化に成功。今年4月にニューメキシコ州ホワイトサンズ・ミサイル実験場で、戦闘ヘリ「アパッチ」に搭載しての試験を行い、無人目標車両の“攻撃”に成功している。そのサイズは、増加燃料タンクとほぼ変わらないほどだという。

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 一方のレールガンも米海軍がBAEシステムズなどと試作、試験を実施。すでに音速の約8倍(秒速2・7キロ)での発射に成功している。火薬を用いた大砲の場合、エネルギーの多くが熱として失われており、初速は秒速約1・7キロ。射程も大幅に伸びるとみられる。

モンロー効果を利用した対戦車弾頭の一例=2002年110月、ドイツ・コブレンツ、岡田敏彦撮影

モンロー効果を利用した対戦車弾頭の一例=2002年110月、ドイツ・コブレンツ、岡田敏彦撮影

 レーザーとレールガンのいずれもが激しい電力消費を伴うものだけに戦車へ搭載するには発電機でもブレークスルーが必要とみる向きも多いが、こうした新技術が実用化された場合、「次世代の戦車」は、大型輸送機から空中投下され、敵の砲弾が届かない遠距離からレーザーやレールガンで攻撃する。

 さらに“天敵”の地上攻撃機をレールガンで迎撃したり、空からのミサイルをレーザーで迎撃するような性能を持つ可能性もあり、将来的に陸戦の様相を一変させるかもしれない。