イタリア中部地震 (2016年8月24日)Ⅰ【前半】冒頭地…

 

死傷者数と救助活動

国籍 死者 負傷者
イタリアの旗 イタリア 275 368
ルーマニアの旗 ルーマニア 11 6
イギリスの旗 イギリス    
    7
  3 2
アルバニアの旗 アルバニア 1  
アメリカ合衆国の旗 アメリカ 1 2
カナダの旗 カナダ 1[ 1[37]
スペインの旗 スペイン 1  
マケドニア共和国の旗 マケドニア   1
エルサルバドルの旗 エルサルバドル   1
合計 294 388

2016年8月24日の地震発生当日にはイタリア軍を含む4,400人以上の救助隊が特殊重機やヘリコプターなどを使用し瓦礫の撤去および徹夜で救出、捜索活動を行った。

翌25日、イタリア内務省はイタリア軍を始めとする政府救出活動により238人を瓦礫の中から救出したことを発表した。出動した救出作業隊の内訳は25日時点でイタリア全土の99の捜索救助センターから集まった1,027人の消防士、57部門の建造物、緊急活動機関、通信分野などからの専門家、32匹の救助犬、40連隊のイタリア軍特殊作戦群、6機のヘリコプター、2機のドローン、2機の重機、また民間救助活動としてアマチュアと自治体単位で607台の車両、1,110人の労働者、それに関連する被災地から5つの市町村を結ぶ道路で道路整備のため交通警察176人と工事作業員322人がそれぞれの作業に従事している

2016年8月27日現在の避難者数は2,000人以上日時点の死者数294人に、26日時点での負傷者数は388人に達している。

被害拡大の原因

アメリカ地質調査所 (USGS)は被災地域にある建造物に耐震性の強弱のある建物が混在していたことが大きな人的・物的被害に繋がった原因となった可能性を示唆した。

イタリアでは1970年代より耐震に関する法整備が始まり、2000年代以降には本格的な耐震基準が定められたものの、適用対象は新築建造物のみであり古い建造物の耐震化が大きな課題となっていた。2008年の民間調査によれば国内中部では全体の14%しか耐震基準を満たしていなかった。

また国土内には歴史的建造物が多く、歴史的建造物の保全に関する各種制度なども耐震化対策の施工を躊躇わせる原因のひとつとなっている。

そして、イタリア政府がヨーロッパ最大規模の債務問題に直面しており、それによって民間セクターに奨励策を示唆したり、あらゆる公共建造物に安全対策を施すに必要な投資を行う余裕がないことも指摘されている。

倒壊・損壊した建造物115軒の一部に工費節約のためセメントより砂を多く使用し、建造コストを下げて建てられた手抜き工事の疑いがあるとして、地元の検察当局が過失致死の疑いとして関係者の法的責任追及を視野に入れて捜査を進める考えを示している。

地震の切迫性を住民に通知しなかった当局についても過失を非難する声が上がっている。

イタリアの対応

政府機関

イタリア政府は2016年8月24日、2億3500万ユーロ(2億6500万ドル)の緊急支援を決定した。イタリア首相マッテオ・レンツィは対応のためフランス訪問を中止、24日夕方に被災地に入り被災者や救急隊員を激励した。

また、続く2016年8月26日には政府は被災地に対し非常事態宣言を行った。また緊急支援金として5,000万ユーロ(約57億円)の拠出も合わせて発表された。

27日には大地震が発生してから3日目ということで生存者発見の可能性が薄れたことから、政府は27日を服喪の日に定め、犠牲者への弔意を示すために国内各地で半旗が掲揚された。また同日、被災地に近いマルケ州の州都アスコリ・ピチェーノで犠牲者の国葬が営まれ、イタリア大統領セルジョ・マッタレッラ、イタリア首相マッテオ・レンツィらが参列した。

駐日イタリア大使館

東京の駐日イタリア大使館は2016年8月30日、イタリア中部地震被災者のための義援金を受け付ける当座預金口座を開設した。

民間

赤十字

イタリア赤十字社は公式ツイッター上で通信回線確保のためにwi-fiのパスワードを削除し一般開放することを呼びかけた。

テレコム・イタリア

イタリア通信社大手のテレコム・イタリアは24日、固定電話回線およびモバイル、インターネット回線確保、電力回復、衛星携帯電話などでの通信手段支援のために技術者によるタスクフォースを被災地に派遣したことを発表した。

復興支援の国際親善試合

イタリアのプロサッカーリーグ、セリエAに所属するASローマは2016年9月3日、アルゼンチンのサッカーチームCAサン・ロレンソ・デ・アルマグロを迎えて、イタリア中部地震の被災者に向けたチャリティーマッチを行った。

アマトリチャーナを通した支援

アマトリーチェが甚大な被害を出したことから、同地に由来するパスタ料理アマトリチャーナを通して被災地との連帯を表明する活動がイタリアを中心に広がった。イタリアのブロガーによって提起されたもので、レストランでメニューにアマトリチャーナを加え、アマトリチャーナを注文した客と提供した店舗が1皿につき1ユーロずつ(計2ユーロ)をイタリア赤十字社に義援金として寄付するというものである。同種の動きは、日本を含め世界各国に広がった。

国際社会の対応

エレバンアルメニア)のイタリア大使館前に供えられた花(2016年8月26日)

バチカン

ローマ法王フランシスコは24日の地震発生を受けて予定していた定例演説を中止、バチカンのサン・ピエトロ広場に集まった数万人の聴衆に対し深い悲しみを覚えたことを述べ、犠牲者への祈りを共に捧げるよう呼びかけた。

日本

神戸国際支縁機構

日本の神戸国際支縁機構は2016年8月24日、緊急救援募金の受付を開始した。

群馬県前橋市、渋川市、甘楽町

被災地周辺に友好都市・姉妹都市を持つ日本の群馬県前橋市、渋川市、甘楽町の3市町村は被害状況の把握に努め、このうち甘楽町は単独で2016年8月26日までに募金活動による義援金を送金する決定を行った。

熊本県や熊本市、熊本県国際協会

熊本県国際協会では、2016年4月の熊本地震で海外からも義援金が寄せられたことから、その恩返しとして、県庁や熊本市役所のほか、銀行口座を通じて義援金の受け付けを、8月30日より開始する。

ドイツ

ドイツ政府

ドイツ首相アンゲラ・メルケルは2016年8月31日、イタリア中部地震で倒壊した小学校の再建を、ドイツ政府が支援すると約束した。

脚注

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^ “TIM: nessun danno alla rete telefonica fissa e mobile nelle zone colpite dal terremoto. L’azienda invia mezzi di emergenza per potenziare i collegamenti e garantire funzionamento centrali” (イタリア語). Telecom Italia (2016年8月24日). 2016年8月29日閲覧。
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