モヤシ

曖昧さ回避 この項目では、穀類、豆類、野菜のもやしについて説明しています。酒造での種麹としての「もやし」については「種麹」をご覧ください。

モヤシ

緑豆モヤシ (生)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 126 kJ (30 kcal)
 

炭水化物

5.94 g

糖分 4.13 g
食物繊維 1.8 g
 

脂肪

0.18 g

飽和脂肪酸 0.046 g
一価不飽和脂肪酸 0.022 g
多価不飽和脂肪酸 0.058 g
 

タンパク質

3.04 g

トリプトファン 0.037 g
トレオニン 0.078 g
イソロイシン 0.132 g
ロイシン 0.175 g
リシン 0.166 g
メチオニン 0.034 g
シスチン 0.017 g
フェニルアラニン 0.117 g
チロシン 0.052 g
バリン 0.13 g
アルギニン 0.197 g
ヒスチジン 0.07 g
アラニン 0.099 g
アスパラギン酸 0.479 g
グルタミン酸 0.161 g
グリシン 0.063 g
セリン 0.033 g
 
ビタミン
ビタミンA相当量

β-カロテン

ルテイン
ゼアキサンチン

(0%)

1 μg

(0%)

6 μg

0 μg

チアミン (B1)

(7%)

0.084 mg
リボフラビン (B2)

(10%)

0.124 mg
ナイアシン (B3)

(5%)

0.749 mg

パントテン酸 (B5)

(8%)

0.38 mg
ビタミンB6

(7%)

0.088 mg
葉酸 (B9)

(15%)

61 μg
ビタミンB12

(0%)

0 μg
コリン

(3%)

14.4 mg
ビタミンC

(16%)

13.2 mg
ビタミンD

(0%)

0 IU
ビタミンE

(1%)

0.1 mg
ビタミンK

(31%)

33 μg
 
ミネラル
ナトリウム

(0%)

6 mg
カリウム

(3%)

149 mg
カルシウム

(1%)

13 mg
マグネシウム

(6%)

21 mg
リン

(8%)

54 mg
鉄分

(7%)

0.91 mg
亜鉛

(4%)

0.41 mg
マンガン

(9%)

0.188 mg
セレン

(1%)

0.6 μg
 
他の成分
水分 90.4 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

モヤシ (もやし、糵、萌やし) とは、主に穀類豆類の種子を人為的に発芽させた新芽。

豆類のモヤシを特に豆もやし (ビーンズスプラウト、ビーンスプラウト、Bean sprout) という。豆もやしは、豆自体または、発芽したを食用とする。

呼称は「萌やす」 (発芽させる意) の連用形であり、本来は穀類の新芽作物一般を指す語である。しかし、近世に緑豆モヤシが大いに普及したため、単にモヤシと言った場合、緑豆モヤシを指すことが多い。カイワレダイコンブロッコリーなどのいわゆる新芽作物 (スプラウト、英: Sprout) もモヤシの一種ということになる。

目次

1種類
1.1豆もやし
1.2新芽野菜としてのもやし
2豆もやしの栽培
3安全性
4主要な栄養成分
5もやし生産者の窮状
6慣用句
7脚注
8関連項目
9外部リンク

種類

豆もやし

Gnome-globe.svg この節はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点からの説明がされていない可能性があります。ノートでの議論と記事の発展への協力をお願いします。(2015年5月)

日本では原料のブラックマッペ (ケツルアズキ) は、戦後にタイミャンマーからの輸入が始まり、中華料理の普及と共に1965年 (昭和40年) 頃からブラックマッペもやしの消費量が増加した。以後、1985年 (昭和60年) 頃になるとスーパーマーケットに定着し、ラーメンや鉄板焼き (ジンギスカン鍋) の需要から人気は急激に高まった。手軽に購入でき多様に調理が出来るブラックマッペもやしの普及にしたがい、生産コストの高い小豆もやしや大豆もやしは衰退した。それまでの「豆もやし」の代表であった「小豆もやし」は食味と食感が似る「緑豆もやし」に駆逐され、1990年以降、急激にとって代わられた[1]

関東では緑豆・大豆を使った、色が白く太めでシャキシャキ感のあるものが好まれる。関西ではブラックマッペを原料とし、どちらかといえば細くて長く、もやし特有の風味があるものが好まれるようである。青森県には大鰐温泉もやしという長さ30cm程度の大豆もやしが存在する。

中華料理での炒め物に多用されるが、これらで使われるのは大豆による「大豆もやし」が一般的である。沖縄ではマーミナー (豆菜) と呼ばれ、チャンプルー (炒め物) によく使われる。また「浜松餃子」は、茹でたもやしが添えられているのが特徴である。

緑豆もやしは店頭に並べられてから傷みが早く、水分が出てくるので2 - 3日以内に消費することが望ましい。手間と時間がかかるが、根と豆部分を取り除くと食感が良くなり、雑味がなくなるなど大きな差が出る。そのほか、ムラサキウマゴヤシ (アルファルファ) のもやし (糸もやし) やソバのもやし (そばもやし) もあり、サラダなどに使われている。

中国ではエンドウをモヤシにした豆苗が栽培されており、欧米ではフェヌグリークやアルファルファなどの豆類ももやしとして栽培されている。

新芽野菜としてのもやし

詳細は「スプラウト」を参照

カイワレダイコンも、もやしの一種である。また発芽したてのブロッコリーや赤キャベツも食用にされる場合が有るが、その場合はこれらも一種のもやしと言える。このような新芽野菜はスプラウトとも呼ばれる。

豆もやしの栽培

原料の豆の種類はブラックマッペ、緑豆大豆の三種がある。豆を流水で10分ほど洗い、豆の量の3倍の水に一晩漬けておき、湯に15分ほど浸漬し真菌などを殺菌し、通気性のよい薄暗い部屋 (軟白栽培) で水を取り替えながら置くと7日 - 10日程度で発芽する。モヤシの根を太く育成するために、しばしばエチレンを添加するための工夫がされている[2]。 成長が早いうえ、通年で栽培できるため安価な値段で取引される。

日露戦争では特に203高地の戦いにおいて、日本軍は大豆からモヤシを作る技術を知っていたので兵士のビタミンを供給でき、モヤシを知らなかったロシア軍は壊血病になって負けた、という俗説がある[3]

第二次大戦中、光のない環境で容易に栽培でき、ビタミンが豊富なことから潜水艦内でも栽培された。

安全性

豆もやしは日光による殺菌作用のない暗所で栽培されるという性質上、大腸菌をはじめとする細菌が増殖しやすい食品であり、消費者が購入する時点で平均して1gあたり100万 - 1000万の細菌があるといわれている。サルモネラカンピロバクターなどの食中毒菌についても栽培前に種子の殺菌が行われるのが常であるものの、何らかの理由でひとたび種子に食中毒菌が付着していた場合、増殖しやすい食品であるといえる。2010年にはイギリスで発生したサルモネラ食中毒事件を受けて、英国食品基準庁が豆もやしを完全に加熱して調理するよう勧告を出している[1]

主要な栄養成分

豆もやし100g当り。

  •  エネルギー:14 kcal
  •  水分:94.4 g
  •  蛋白質:1.7 g
  •  炭水化物 (糖質):2.6 g

このほか、2-sec-ブチル-3-メトキシピラジンが微量含まれ、モヤシの香りを表現する香料としても用いられる[4]

ブラックマッペリョクトウには、血糖値を抑制する効果のあるα-グルコシダーゼ阻害作用がある[5]

詳細は「」を参照

もやし生産者の窮状

2017年3月9日付けで、「もやし生産者協会」が、文書「もやし生産者の窮状について」を発出した。上がり続ける「生産コスト」に対して、上がらない「販売価格」(もやしの販売価格は約40年前(1977年平均価格「総務省家計調査」より)の価格よりも安い)。廃業が続く生産者の窮状を訴えた[6]

慣用句

日の光に晒されることなく成長する様と白さから転じて、色白で虚弱な人や痩せている人、屋外遊びをせず日焼けしない児童などを指して、「もやし」「モヤシっ子」と表現することがある。

脚注

  1. ^ 「原料高騰 モヤシに荒波」『朝日新聞』2010.2.26 (31)
  2. ^ 渡辺篤二監修 『豆の事典 :その加工と利用』 幸書房、2000年 pp.94-95
  3. ^ 「食べ物さん、ありがとう」川島四朗サトウサンペイ 朝日文庫 ASIN: B00CE6ZA1W
  4. ^ 長谷川香料株式会社 『香料の科学』 講談社、2013年。ISBN 978-4-06-154379-9
  5. ^ 豆類ポリフェノールの抗酸化活性ならびにα-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ阻害活性、齋藤優介ほか、日本食品科学工学会誌、Vol.54 (2007) No.12 P563-567
  6. ^ 文書「もやし生産者の窮状について」もやし生産者協会(2017年3月15日), 2017年3月21日閲覧。

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、モヤシに関連するカテゴリがあります。

 

外部リンク

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