1993年米騒動【前半】目次 経緯 タイ米と日本 モンサン…

 

外食産業への影響

外食産業ではタイ米の調理法などの勉強会が各地で催された。近年東南アジア料理が日本に広まっている傾向により、あえてインディカ米の持つ特徴を生かし、炒飯カレーライスパエリア等、タイ米に注目して使用するというレストランや外食産業店が増えることになった[注釈 2]

セブン-イレブンなどでは、豊富で安価なタイ米を生かして、一般の弁当より低価格なジャンバラヤなど、積極的なタイ米弁当のメニューを、年度内はラインナップに挙げていた。

カレーライス・チェーンのカレーハウス CoCo壱番屋では、大盛りカレーライスを「短時間で完食すれば食事代無料」というキャンペーンを創業以来行なっていたが、この米騒動の時は企業イメージのため一時的に取り止めている。また、九州地区を中心に全国展開するとんかつ専門店チェーンの浜勝では、米不足のための苦肉の策として始めた麦飯が好評を博し、その後も人気メニューとして残っている。

他業種の乱入

当時、家電製品の安売りで知られた城南電機の社長宮路年雄が「日本人は日本の米を食いたいんじゃ」と、あきたこまちのヤミ米29トンを秋田県南秋田郡大潟村で買い付け、買付価格の半額という原価割れの激安価格で売り出し、店の前には大変長い行列ができるなどの狂乱的状況が発生。行政指導を受けた。

その後

1994年(平成6年)の6月に入り沖縄県産の早場米が出回るようになって徐々に事態は沈静化、同年は暑い夏となり全国的に豊作が伝えられ、完全に収束する。これら一連の騒動は、同じく1993年のナタ・デ・ココブームや、バブル景気ボジョレー・ヌーヴォーブームなどと並んで、日本の食料政策や国際的モラルに、大きな禍根を残すことになった。

それまで人気品種だったササニシキが冷害に弱いという欠点が露呈し、冷害に強いひとめぼれへの転換が進んだ。

米の輸入自由化

従来日本国政府は、日本国内での農家保護のために、国是としてコメの全面輸入禁止を行なっていたが、同騒動により各国からコメの緊急輸入を受け入れせざるをえなかった。

しかしこの緊急輸入と調達により、コメの国際取引市場を混乱させたとの世界的な批判を受けて、日本国政府は段階的にコメの輸入を解禁せざるをえず、当時のウルグアイ・ラウンド交渉で、最終的にミニマム・アクセスとして、各国からコメの貿易自由化要求を飲まざるを得なくなった[注釈 3][注釈 4]

1993年米騒動を扱った作品

  • コミックス『美味しんぼ』(原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ)単行本49巻収録「タイ米の味」 ※4話構成
  • コミックス『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治)単行本89巻収録「1994年米騒動!の巻」 ※1994年4月初出
  • コミックス『大使閣下の料理人』(原作:西村ミツル、作画:かわすみひろし)単行本10巻収録 ※7話構成 - タイ米が日本で大量に放棄されたことに怒ったタイ人が反日感情を持つようになり、日本製品のボイコットなどが起き、農村出身のタイの首相が反日になったというエピソードが収録されている。
  • コミックス『ゴーマニズム宣言』(小林よしのり)単行本4巻収録 - タイ米を粗末に扱う日本人への批判に対し、「日本料理に合う米は日本米であり、食料の選択が出来る現代においては、我慢してタイ米を食べる必要は無い。日本米は今後高級食材になるだろうが、ワシは日本米を食べ続ける。貧乏人はタイ米を食え。」と主張している。
  • ゲーム盤『人生ゲーム』シリーズ 「平成版IV」 - イベントの一つとして、当該事件を反映。プレイヤーが「コメ」を所持しなければ一回休みというルールが取られている。また、「緊急輸入」というマスがあったり、「ヤミ米屋」という職業もある。

脚注

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注釈

  1. ^ これは同年2月28日に参議院の女性議員(日本共産党所属)が述べた輸入米の安全性を問う質問(愛媛大学農学部農場報告・西頭徳三P.53)に端を発しており、いわゆる「イメージ映像」的な写真を掲載したグラビア誌もあったという。
  2. ^ 先述した通り、インディカ米は、その特徴を利用すれば、日本人の味嗜好にも受け入れられる料理を作ることが可能である。
  3. ^ この解禁で2001年(平成13年)には全体の10%程度を日本国外からの輸入となるまでになった。また戦後の食料不足の教訓から作られた食糧管理法を廃止のうえ、大幅に見直し(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律・食糧法)、今までの農林水産省主導による農業統制から、ある程度耕作の自由が与えられるようになった。また日本国政府は、不作対策として国内の備蓄米の量を増やすことを決定している。
  4. ^ 2003年(平成15年)の冷夏による不作の際は、米価の10%から20%程度の上昇で抑えることができたが、やむをえず輸入され続けた輸入米が国内で異常に余剰され、食用米としては一般市場には『外国産米』と銘打っては流通されず、加工米や安価販売用のブレンド米、海外災害救援物資として一部利用されるのみであり、この問題が産地偽造米問題としてクローズアップされることもあり、また悪徳精米業者によって国産米とアメリカ・オーストラリア米の混合米でありながら、『国産ブランド米100%』として販売されている問題も発生しているため、今日でも農政に対する不備の声は根強い。

出典

関連項目

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