軍隊の階級 Ⅰ【初】目次 

 

下士官・兵

下士官・兵は士官や准士官の下の階級であり、軍人の大多数を構成する。

下士官

下士官は、士官の指揮の下で、他の軍の構成員を監督する代理権限を許可され重要な監督責任を負う。

上級下士官は尉官よりも軍歴が長いことが多く、上級下士官が公式にもつ責任と非公式に受ける敬意は尉官に勝るとも劣らない場合が多い。いくつかの国では、准士官の階級は専門職に対する階級とし最も功績ある下士官に対する階級を下士官に留めおく場合もある(最先任最上級曹長など)。

下士官の階級は典型的にはかなり多くの格付けの曹長、軍曹、伍長(陸軍、海兵隊と空軍)、兵曹(海軍と沿岸警備隊)である。

指揮権限がないは通常は○○兵のような肩書きをもつ。いくつかの国や軍種では、異なる兵科では肩書きも異なる。兵の階級には様々な格付けがあるかもしれないが、しかしそれらは通常は権限が増えるのではなく給与の変化を反映しているに過ぎない。これらが技術的に階級であるかどうかは、国や軍種による。

階級符号

NATO階級符号

北米と西欧の多国間軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)では、STANAG 2116で「NATO軍人階級符号」(the NATO codes for grades of military personnel)を制定している。STANAG 2116の別表では加盟各国の軍隊の階級と NATO 階級符号との対応が定められている。

  • 士官:OF-1からOF-10(昇順)。英語のOfficersに由来する。
  • 見習士官:OF(D)。英語のOfficers Designateに由来する。
  • 准士官:WO-1からWO-5(昇順)。英語のWarrant Officersに由来する。
  • その他の階級:OR-1からOR-9(昇順)。英語のOther Ranksに由来する。

NATOではOR-5からOR-9に含まれる階級は下士官とみなされるが、加盟各国の軍隊の下士官の範囲とは必ずしも一致しない。なお、一般的な制度における准士官は上級の下士官として「その他の階級」に含まれるが、ギリシャ軍イタリア軍ポーランド軍ルーマニア軍韓国軍及びアメリカ軍の准士官は、少尉と下士官の間の「士官」にも「その他の階級」にも含まれない独立した階級である。そして、NATOは事実上アメリカ合衆国を盟主とする軍事同盟であるため、米軍のシステムに合わせて准士官の階級符号は別に設けられている。

アメリカ軍給与等級

アメリカ軍では軍人の基本給と階級の対応付けに使用する連邦政府規準として給与等級 (pay grade) を定めている。この給与等級はアメリカ合衆国連邦政府における職階制給与制度に含まれる。

  • 士官:O-1からO-11(昇順)。英語のOfficersに由来する。O-1とO-2はNATO階級符号のOF-1に、O-3以上はそれぞれNATO 階級符号 OF-2以上に相当する。
  • 准士官:W-1からW-5(昇順)。英語のWarrant Officersに由来する。W-1からW-5はそれぞれNATO階級符号のWO-1からWO-5に相当する。
  • 下士官兵:E-1からE-9(昇順)。英語のEnlisted personnelに由来する。E-1からE-9はそれぞれNATO階級符号の OR-1からOR-9 に相当する。

アメリカ軍の下士官はE-4以上に分類される。ただし、兵であってもE-4以上に分類されることがある。

国際比較