日本の硬貨 Ⅰ【前半】目次 流通硬貨 日本/通貨
製造されなかった年銘
生産過剰等の理由により、1枚も製造されなかった年銘が発生した例もある。現行の硬貨の発行期間中に製造されなかった(存在しない)年銘は以下の通り。ここでも現在発行中の6種に、筆五・ギザ十及び旧500円硬貨を加えた9種の発行期間を対象とする。
- 1円
- 昭和43年
- 5円
- 昭和29年
- 昭和30年
- 昭和31年
- 10円
- 昭和31年
- 50円
- 昭和64年
- 100円
- 昭和64年
- 500円
- (なし)
平成に入ってからは、一般流通用として製造されなかった例として、平成22年銘の5円・50円硬貨、平成23年銘の1円・5円・50円硬貨、平成24年銘の1円・5円・50円硬貨、平成25年銘の1円・5円・50円硬貨、平成28年銘の1円硬貨の合計12例があるが、前述のようにいずれの場合もミントセット用の硬貨が製造されたため、厳密な意味で製造枚数が0枚となった例は平成に入ってからは現時点で皆無である(昭和64年の50円・100円が最後)。
変遷
- 1948年(昭和23年):5円硬貨発行、流通開始。素材は黄銅。図柄は国会議事堂。穴は空いていない。
- 1949年(昭和24年):5円硬貨のデザインが、穴の空いた形状へ変更される。図柄も稲と水と歯車に変更。ただし、このとき発行されたのは、いわゆる「筆五」であり、現行のものとは形状が異なる。
- 1953年(昭和28年)1月15日:10円硬貨流通開始。素材は青銅。ただし、このとき発行されたのは、いわゆる「ギザ十」であり、現行のものとは形状が異なる。
- 1955年(昭和30年)6月1日:現行1円硬貨流通開始。素材はアルミニウム。
- 1955年(昭和30年)9月:50円硬貨流通開始。素材はニッケル。図柄は菊の花一輪。
- 1957年(昭和32年)12月11日:100円硬貨流通開始。素材は銀。図柄は鳳凰。
- 1959年(昭和34年)2月16日:10円硬貨が、側面の溝の無い新しいデザインに変更される。
- 1959年(昭和34年)2月16日:100円硬貨の図柄が鳳凰から稲穂へと変更される。
- 1959年(昭和34年)2月16日:50円硬貨のデザインを穴の空いた形状へ変更する。
- 1959年(昭和34年)2月16日:5円硬貨の字体を旧字体から新字体、楷書体からゴシック体へ変更する。
- 1967年(昭和42年):現行100円硬貨流通開始(素材が銀→白銅へ、図柄も桜の花三輪へと変更)。
- 1967年(昭和42年):現行50円硬貨流通開始。
- 1982年(昭和57年):500円硬貨流通開始。
- 2000年(平成12年)8月1日:偽造防止を図るため、500円硬貨の素材およびデザインを変更し、潜像を施した。
沿革
旧二円金貨(1870年(明治3年)製造
新貨条例が施行された明治以降の近代社会において、それまでの小判や分金、穴銭などといった手工芸的な硬貨に代えて、本格的な洋式硬貨を明治4年(硬貨上の年号は3年銘もある)から発行した。
が発行され、流通した。
以降様々な材質でこれらの額面の多様な硬貨が製造されたが、一円銀貨は貨幣法により1898年(明治31年)4月1日限り、1円以下の補助貨幣は戦後小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律により1953年(昭和28年)末に廃止となった。また戦後は金本位制は有名無実化していたが、本位金貨も1988年(昭和63年)3月31日限りで名実ともに廃止となり、現在は名実ともに管理通貨制度に移行した。
記念貨幣
東京オリンピック記念1000円銀貨幣(1964年(昭和39年)発行)
詳細は「日本の記念貨幣」を参照
日本では1964年(昭和39年)に発行された、東京オリンピック記念の1000円銀貨幣を初めとして、現在に至るまで、50種類以上もの記念貨幣が発行されている。
損傷時の交換
日本銀行の本支店において、破損(曲がり、変形等の損傷や汚染など)や磨損(すり減りなど)により通用や使用に支障が出た日本の硬貨(以下単に硬貨)について交換業務(引換え)を行っている。
破損等の事由には過失など理由を問わないが、故意の硬貨の損傷は貨幣損傷等取締法により処罰される。なお、有害物質(放射能、毒劇物、化学兵器や生物兵器その他)により汚染された硬貨については、日本銀行への届け出前に、当該有害物質の所管官庁等に相談する必要がある。
窓口に出向き届け出る事が必要であり、郵送などの対応は行わない。また、日本銀行本支店では、引き換えに要する時間その他の事務上の理由から、来店前に事前に電話等をする事を推奨している。
これらの業務は、少量であれば銀行法上の銀行(普通銀行)窓口においても対応する場合がある。なお、ゆうちょ銀行窓口においては両替業務を行っていない関係上、損傷硬貨の交換も行っていない。
損傷硬貨の引換え基準
硬貨の刻印(模様)が確認できることが条件となる。また、欠損のある場合は以下の基準により交換を行う。
- 金貨である場合
- 残存重量が98%以上の場合
- 全額(100%)の硬貨と交換
- 残存重量が98%未満の場合
- 全額失効
- 残存重量が98%以上の場合
- 金貨以外の場合
- 残存重量が50%を超える場合
- 全額(100%)の硬貨と交換
- 残存重量が50%以下の場合
- 全額失効
- 残存重量が50%を超える場合
ただし、損傷等の原因が災害その他やむを得ない事由による場合は、上記にかかわらず、硬貨の刻印(模様)が確認できることが条件として、全額(100%)の硬貨と交換するとしている。
脚注
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- 『景気対策を目的とした政府貨幣増発の帰結 - UFJ総合研究所』(UFJ総合研究所、2003年、ウェブアーカイブ)
- ^ 毎日新聞社編『話のネタ』PHP文庫 p.70 1998年
- 貨幣の量目は、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律施行令(昭和63年政令第50号)に定められる。なお、厚さは法令では定められていない。
- {\displaystyle {\frac {20}{13}}} mm
- 5円硬貨や50円硬貨などで、希に穴がズレたまま発行されることもある。確かに希少ではあるものの、ここでは扱わない。
- 造幣局 年銘別貨幣製造枚数
- https://www.boj.or.jp/about/services/bn/hikikae.htm/
- 届け出当日中に全部を交換できない場合もある
- 本支店窓口では、なるべく届出者により汚損硬貨の洗浄、乾燥などを求めている。
- https://www.boj.or.jp/about/services/bn/sonsyo.htm/
- 金地金として自ら処分等
- 自ら処分等
関連項目
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外部リンク
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