技術的特異点(2045年問題)Ⅷ2095十垓倍脳
注釈
- カーツワイルが想定する2045年の技術的特異点を「コンピューターの知性が人間を超えること」とする報道が一部メディアで見られるが、カーツワイルはコンピューターの知性が人間を超える時期を2020年代と予想しており、誤解である。「人間の知能を模倣するために必要なハードウェアが、スーパーコンピューターでは10年以内に、パーソナル・コンピュータ程度のサイズの装置ではその次の10年以内に得られる。2020年代半ばまでに、人間の知能をモデル化した有効なソフトウェアが開発される。」「ハードとソフトの両方が人間の知能を完全に模倣できるようになれば、2020年代の終わりまでには、コンピューターがチューリングテストに合格できるようになり、コンピュータの知能が生物としての人間の知能と区別がつかなくなるまでになる。」(ポスト・ヒューマン誕生 P.40、レイ・カーツワイル著、2005年)。カーツワイルが想定する2045年の世界のシナリオは端的に言えば「1000ドルのコンピューターの演算能力がおよそ10ペタFLOPSの人間の脳の100億倍にもなり、技術的特異点に至る知能の土台が十分に生まれているだろう」というもので、コンピューター1台が人間一人あるいは人類全体の知能(100億人分の知能)を超えた瞬間に激変が起きることを意味していない。
参考文献
- レイ・カーツワイル(著) 井上健(監訳) 『ポスト・ヒューマン誕生-コンピュータが人類の知性を超えるとき』 NHK出版 ISBN 978-4-14-081167-2 ("The Singularity is Near:When Humans Transcend Biology"(ISBN 978-0143037880)の邦訳。英語の原題 『(技術的)特異点は近い:人類が生物学(的制約)を超える時』が示すように、この本の中心テーマになっているのは技術的特異点。分厚い本だが、技術的特異点がどういうものなのか、について科学的・技術的そして哲学的な観点まで含めた詳細な解説が書かれている。引用文献の数も多く一冊でかなりの情報量を持つ。)
- ヴァーナー・ヴィンジ(著), 向井淳訳, 『〈特異点〉とは何か?』, SFマガジン2005年12月号 pp.60〜72, (原文は https://www-rohan.sdsu.edu/faculty/vinge/misc/singularity.html )
関連項目
- 特異点
- シンギュラリティ(en:Singularity) (曖昧さ回避)
- 人工知能 - 強いAIと弱いAI
- ポストヒューマン
- クラークの三法則
- 認知閾
- 終末論法 (en:Doomsday argument)
- 文明の終焉 (en:End of civilization)
- オメガポイント (en:Omega point)
- テクノユートピア主義 (en:Techno-utopianism)
- ティッピングポイント (en:Tipping point)
- シミュレーテッドリアリティ
- ビッグヒストリー
- 関連団体
- en:Machine Intelligence Research Institute(Singularity Institute for Artificial Intelligence)
- en:Acceleration Studies Foundation
- シンギュラリティ・ユニバーシティ
外部リンク
いずれも英文
- The Singularity Institute for Artificial Intelligence
- The SSEC Machine Intelligence Project
- KurzweilAI.net
- Acceleration Watch
- The SL4 Wiki
- Man-Computer Symbiosis - 1960年に発表された人間とコンピュータの共生の様子を論じた論文である。インターネットの思想の起源である。コンピュータと関係した技術的特異点論の基礎を作ったと考えられる。
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