サハギン/サファギン/サヒュアジン/サフアグン (sahu… 

 

社会

サハギンは流血を好む残忍な半魚人で、“海の悪魔(シー・デヴィル)”の異名を持つ“秩序にして悪”の種族である。彼らは海中では最も繁栄している種族で、アクアティック・エルフ(水棲エルフ)やトリトンとは不倶戴天の敵である。だが、「サハギンが生き残るためには、サハギンではないすべてのものを無慈悲に根絶しなければならない」という信条を持つ彼らはアボレスら他の海棲種族すべてと敵対関係にある。海の中において彼らが心を許すのは唯一サメだけである。

サハギンは沿海部の海底に石などで築いた城塞を構えて、海岸の居住者に繰り返し襲撃を行う。サハギンは家父長制で、厳格な身分社会制度に乗っ取っている。1つの村を男爵が治め、その上に20ほどの村を統べる公爵がいる。その上に立つ王は海域を支配しており、6000人ほどが暮らす城塞都市を築いている。

戦闘ではトライデントや投網を好んで用いる。 サハギンはサメのように獰猛な戦士で、相手を殺すか死ぬまで戦闘を止めない。相手を負傷させたり、自らが負傷したりすると血の臭いで狂乱状態となり、狂ったように凶暴になる。

サメとの会話

サハギンはサメとテレパシーで、「殺せ」「敵だ」などの簡単な意思疎通ができる。
サハギンはこの能力を使ってサメを飼い慣らしている。

突然変異体・マレンティ

サハギンの中では稀に突然変異体が誕生する。その中で200体につき1体ほど、腕が4本あるサハギンが誕生する。4本腕のサハギンはその有利な特性により、普通の個体より早い段階で貴族階級に上り詰める。
アクアティック・エルフの共同体に近いサハギンの共同体には稀(100体に1体)に、その残忍な性質はそのままに、アクアティック・エルフによく似た外見の変異種が誕生する。彼らは“マレンティ(Malenti)”と呼ばれ、他の社会へのスパイとして用いられる。

宗教

サハギンは“魔の鮫”の異名を取る“秩序にして悪”の神セコラを崇拝している。第4版でセコラは原野、海の女神メローナのエグザルフ(側近)となっている。サハギンの社会では司祭階級は女性であり、一族の指導を行う一方でサメの神セコラへ生贄を捧げることを怠らない。
それにも関わらず、サハギンは迷信深く魔法を極端に嫌う。

D&D世界でサハギン

グレイホークでのサハギン

グレイホークの世界でサハギンは王都グレイホークの南方に広がるアズール海(Azure sea)を縄張りにしている。CY570年代に彼らはソルトマーシュ市の沿岸部を襲撃している。その際、リザードフォークの一族がサハギンの襲撃を受けて駆逐され、その棲み家はソルトマーシュ市襲撃の拠点に改築された。これが契機となり、ソルトマーシュ市民とリザードフォーク、アクアティック・エルフ、マーマン(人魚)、ロキャーサ(中立的な半魚人)による連合が結ばれた。

エベロンでのサハギン

エベロン世界でのサハギンはゼンドリック、コーヴェア両大陸の間にあるシャーゴンス・ティースという列島の海底に棲息している。
サハギンはかつてエルフであり、ゼンドリックのジャイアントによって醜く変質させられたという噂があるが、サハギンは自らはジャイアントの文明よりも早くから存在していると主張している。サハギンはシャーゴンという邪神を崇拝しており、他の知的生命体を食べることでその知識と力を得ると信仰している。実はシャーゴンは“暗黒六帝”の1柱、ディヴァイラーのまたの姿である。
現在、サハギンはゼンドリックの海没した巨大遺跡群を棲み家としており、古代史に関する知識や、多数の遺物を所有している。

パスファインダーRPG

D&D3.5版のシステムを継承するパスファインダーRPGにてサハギンは『Bestiary 1』(2009、未訳)に登場している。

アリアンロッドRPG 2E

アリアンロッドRPG 2E#サハギンを参照。

アリアンロッドRPG 2Eにてサハギンは『アリアンロッドRPG 2E スキルガイド』にてPC用種族として登場している。

アリアンロッドRPGでのサハギンの外見は、同ゲームのエネミー(敵役)であるギルマンに似ており、共に魚に手足の生えた魚人である。
ギルマンの侵攻に脅かされた魚たちが海神リアールの加護によって知性化したのがサハギンで、ギルマンとは不倶戴天の仲である一方、人間とは友好的な関係を築いている。『スキルガイド』掲載のサハギン出自表には、ただの魚だったが加護の力でサハギンになったという出自もある[10]

ソード・ワールド2.0

ソード・ワールド2.0においてサハギンは蛮族に属する魚人として登場する。彼らは同じ蛮族であるギルマンの奴隷種として、雑用や兵士としてこき使われている。臆病な性格で、ギルマンの命令がない限り意欲的に戦おうとはしない。主に水中に棲息しているが、小舟や岸で遊ぶ子供たちを襲うときもある。

ログ・ホライズン

ログ・ホライズンでは“水棲緑鬼(サファギン)”の名称で登場している。魚と人を合成したような姿の亜人間種族で、鱗の色は青色から緑色をしている。このゲームの水棲生物は電撃に弱く、サファギンも弱点としている。TRPG版ルールブックでは、通常のサハギンに加えて、珊瑚の槍を手に鮫に跨る“水棲緑鬼の鮫騎兵(サファギン・シャークライダー)”も登場している[12]

コンピュータゲームでのサハギン

第1作目から複数の作品に登場している。
AimingがAndroid、Yahoo!モバゲーに配信している戦略RPG。
  • 『ブレイブフロンティア』
AlimがAndroid向、iPhone向けに配信しているRPG。
  • 『ドラゴンコインズ』
セガがiOS、Androidに配信しているモンスター育成&コインゲーム。
  • 『精霊ファンタジア』
オルトプラスがGREEにて配信するファンタジーカードバトルゲーム。
萌え擬人化した精霊(モンスター)を仲間にして育成するシステムで、サハギンも美少女化している。

脚注

  1.  幻獣ドットコム『図説幻獣図鑑』幻冬舎 (2008) ISBN 978-4-344-81173-7
  2.  “Questions and Answers with Mystaran Authorities”. Vaults of Pandius. 2006年9月10日閲覧。
  3.  デイヴ・アーンソン『Blackmoor』TSR (1975)
  4.  ゲイリー・ガイギャックス『Monster Manual』TSR (1977)
  5. ^  スキップ・ウィリアムズ、ジョナサン・トゥイート、モンテ・クック 『ダンジョンズ&ドラゴンズ基本ルールブック3 モンスターマニュアル第3.5版』ホビージャパン (2005) ISBN 4-89425-378-X
  6. ^  スキップ・ウィリアムズ『The Sea Devils』TSR 1997
  7. ^  マイク・ミアルズ、スティーヴン・シューバート、ジェームズ・ワイアット『ダンジョンズ&ドラゴンズ モンスター・マニュアル』ホビージャパン (2009) ISBN 978-4-89425-842-6
  8. ^  Jason Bulmahn『Pathfinder Roleplaying Game: Bestiary』Paizo Publishing (2009) ISBN 978-1601251831
  9. ^ キース・ベイカー、ビル・スラヴィセク、ジェームズ・ワイアット『エベロン・ワールドガイド』ホビージャパン (2006) ISBN 4-89425-484-0
  10. ^ 菊池たけし『アリアンロッドRPG 2E スキルガイド』KADOKAWA (2014) ISBN 978-4-04-070054-0
  11. ^ 北沢慶/グループSNE『ソード・ワールド2.0 ルールブックⅡ』富士見書房 (2008) ISBN 978-4-8291-4529-6
  12.  橙乃ままれ、絹野帽子、七面体工房『ログ・ホライズン TRPGルールブック』KADOKAWA (2014) ISBN 978-4-04-729359-5

参考文献

  • 図説幻獣辞典(幻冬舎コミックス)

外部リンク

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