ヒンデンブルグ・オーメンは、「ヒンデンブルグの予兆」とも呼ばれ、米国株式市場のテクニカル的な株価暴落の前兆とされるシグナル(サイン)をいいます。これは、高値・安値銘柄数や移動平均線などを基に算出するテクニカル分析の概念(株価の先行きに警鐘を鳴らすもの)の一つで、盲目の物理数学者であるジム・ミーカ(Jim Miekka)が導き出したと言われています。

当初は、株式市場の分析家らは「サドベリの強気弱気(Sudbury Bull & Bear)」と呼んでいましたが、今日では、「ヒンデンブルグ・オーメン(Hindenburg Omen)」と呼ばれることが多いです。また、その呼称は、1937年5月6日に米国のニュージャージー州レイクハースト海軍飛行場で発生したドイツの飛行船「ヒンデンブルク号」の爆発・炎上事故に由来し、オーメンとは「良くないことが起こる前兆」という意味があります。

一般にヒンデンブルグ・オーメンは、リーマンショック後の2010年8月に現れた際に、マーケットで話題となって知られるようになり、当時は、バーナンキンFRB議長が「QE2(量的緩和第2弾)」を示唆したことで暴落は回避されました。

ヒンデンブルグ・オーメンの発生条件

現在、ヒンデンブルグ・オーメンの発生条件には諸説がありますが、直近では、以下の四つの条件が同じ日に起こった時に発生するとされています。また、一度発生すれば向こう30営業日は有効ですが、マクラレンオシレーターがプラスとなれば無効となります。

1.ニューヨーク証券取引所(NYSE)での52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.8%以上
2.NYSEインデックスの値が50営業日前を上回っている
3.短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーターの値がマイナス
4.52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の二倍を超えない

ヒンデンブルグ・オーメンの発生と暴落(過去検証)

過去のデータによれば、ヒンデンブルグ・オーメンが確認された後、以下のようなことが起こると言われています。また、本シグナルが発生しても暴落しないケースもありますが、1985年以降では、米株式市場が暴落した際は、いずれの場合も本シグナルが現れたそうです。

・77%の確率で株価は5%以上下落する
・パニック売りとなる可能性は41%と算出されている
・重大なクラッシュとなる可能性は24%と算出されている