量子力学から予測される10種の革新的含意

2017年05月09日 ι コメント(34) ι 知る ι サイエンス&テクノロジー ι #

 

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 量子力学は過去数十年で驚嘆すべき出来事を起こしてくれた。浮気を見分ける方法から骨折を精密に検査する機器まで、量子力学を応用した技術はいくつもある。

 専門家の言葉を信じるならば、まだまだ驚きの革新が量子力学から登場するという。

 

 

10. 核融合炉

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 太陽で起きている核融合は、地球上の生命の源だ。太陽には水素原子が豊富にあり、熱と圧力がそれをヘリウム原子へと融合させる。地球へ届く日光は、このとき放たれる放射性エネルギーである。その連鎖的な核融合によって起きている過程の1つが量子トンネルという現象だ。

 専門家は核融合を地球上で再現しようとしているが、それには量子物理学者の協力が不可欠である。核融合による発電はまだ夢の技術でしかないが、その実現に近づくためには量子力学の理解を進めねばならないのだ。

 

9. 完璧な時計

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 地球軌道を飛ぶ宇宙ステーションや人工衛星を同期させたり、マリアナ海溝やエベレストで完璧な時刻を知るには、原子時計という量子力学の原理を利用したものが利用される。

 これは今までもすでに大いに人類に貢献してきたが、さらなる精度が求められている昨今、より高度な量子時計の開発が待たれている。超正確な自動運転車から宇宙旅行まで、その応用範囲は数知れない。

 

8. 量子コンピューター

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 今や人工知能は人間の知性を追い抜こうとしている。しかし人間と機械が現在のものよりもずっと広大なネットワークに接続されるであろう将来、従来のシリコンチップでは不十分になると予測されている。そこで登場するのが量子コンピューターだ。

 これは原子の性質を利用することでリアルタイムなデータの保存と処理を行う。量子コンピューターの実験結果は素晴らしいが、現時点で経済的に採算性がある機器を作ることはかなり難しいとされる。

 それでも2030年には普及し始めると考える専門家もいる。仮に量子コンピューターが完成すれば、現在のスーパーコンピューターで2年かかる計算をほんの数秒でこなすことが可能になる。

関連記事:世界を一変させるかもしれない量子スーパーコンピューターの設計図が公開される(英物理学者)

 

7. 銀河間旅行

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 人類が地球以外の惑星に移住することはまだまだ先の話であるが、ミチオ・カク博士など著名な未来学者によれば、深宇宙への人類進出は量子力学の理解次第なのだという。従来の技術で達せられる速度では、太陽系内の他の惑星への入植すらままならないかもしれない。そこで期待されるのが量子力学だ。

 現在の宇宙船にはすでに量子時計が利用されているが、量子コンピューターがあればさらに素晴らしい未来の宇宙船を作ることができる。そして量子もつれをきちんと理解できれば、ワームホールを抜けて銀河間を移動するという究極の航法が可能になるかもしれない。

 

6. 超堅牢な暗号

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 ネットのセキュリティは現代最も差し迫った問題の1つであり、より堅牢な暗号がますます求められるようになっている。銀行取引から私的なメッセージまで、毎分数十億ものデータが送信されているが、実は既存技術でその安全を保つのは容易ではない。そこで切り札となるのが量子暗号だ。

 これは光子を制御して、亜原子レベルに情報を保存する技術であり、投票や衛星データをはじめとするいくつかの事例ですでに応用されている。


Quantum Cryptography Explained

 

5. 精密な光学機器

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 今日、最も広く量子力学が応用されているのは光学の分野だろう。世界最先端の顕微鏡は量子トンネルを利用して、DNAや電子といった極小の物体を検出する。つまり最近における顕微鏡レベルの革新や発見は量子力学の賜物だということだ。将来的には量子力学を利用した望遠鏡も登場するであろう。

 

4. 医学への応用

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 長年にわたり量子力学の原理は放射線機器やMRIの開発に大きな役割を果たしてきた。だが今後、量子力学はそれをも上回る革新を医療の世界に引きおこすかもしれない。

 専門家によると、ナノテクノロジーと量子コンピューター技術はガンや臓器不全の治療を助ける優れたツールになるという。また人体が疾病と戦う助けにもなるとも指摘されている。

 

3. 平行宇宙や多元宇宙の発見

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 SFファンなら平行宇宙は大好きなテーマであろう。現実には事実というよりも理論でしかなく、その存在について学会の態度はまちまちである。

 だがスティーブン・ホーキングのようなブラックホールが別の宇宙への入り口である可能性を指摘する者や、ブライアン・グリーンのような平行宇宙や多元宇宙が実在しうると主張する者も確かにいる。両者共に、量子力学の理解が進み、さらに高度な機器が登場すれば、我々の宇宙以外にも宇宙が存在する証拠が得られるであろうと予測している。

 

2. 時空の概念の崩壊

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 ただでさえ複雑な相対性理論だが、現在の物理学者はさらに頭をこんがらがらせる理論を提唱している。彼らによると、まず空間とは宇宙の空の部分であるように見えて、実はちっとも空ではないのだという。そこは全宇宙の95パーセントを占めるいわゆる”ダークマター”や”ダークエネルギー”で満たされているのだそうだ。

 一方、時間については幻想とされる。過去・現在・未来におけるあらゆる出来事の概念を否定し、現実には時間などないのだという。さらに線形の時間という概念は、量子のスケールと相容れないのだとも主張される。

 つまり、そうした専門家の意見が正しいのだとすれば、何もないと思われた空間は何もないわけではなく、現実であると思われた時間も現実ではないことになる。これに驚かないのであれば、おそらくあなたは存在していないのだろう。

高次の存在を示唆する10の科学的証拠

 

1. 意識が現実を作る

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 現実が意識の結果であったとしたら? 現実があなたを作り出すのではなく、あなたが現実を作り出しているのだとしたら? 理論物理学の世界において、最も熱い議論が交わされるテーマは意識だ。量子レベルの物質の状態がその解釈によって異なるという点について、専門家は意見の一致をみる。

 ロバート・ランザ、ロジャー・ペンローズ、スチュワート・ハメロフらはさらに一歩進み、意識は量子レベルにおける物質の振る舞いを定義していると提唱する。例えば、ランザは、時空とは心が宇宙の情報を解釈するために適用する単なるツールに過ぎないと考える。またハメロフとペンローズによれば、意識とはニューロンの中の極小のチューブが振動することによる量子重力効果の結果であるそうだ。


via:10 Revolutionary Implications of Quantum Physicsなど

 

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