ESCO事業(Energy Service Company…Ⅴ
インハウスESCO
インハウスESCO (インハウスエスコまたはインハウス・エスコと表記する団体もある) とは、組織内部の技術職員により、施設管理部署等に対して、省エネルギーに関する改善提案及び工事の実施、効果の検証、保守管理の支援等の省エネ活動を行う政策をいう。 一部の地方公共団体で行われており、青森県や東京都などの例が知られる[30]。
安価に省エネルギーを推進できるほか、地方公共団体が自ら省エネ・節電を実体験して知見を得ることにより、実効性のある省エネルギー政策の形成に役立っていることが評価されている[31]。
また、民間企業においても、社内や系列会社の専門家チームによる自主的な省エネルギー診断が行われており、省エネパトロール、省エネキャラバン、社内ESCO 等と呼ばれている[23]。
BEMSアグリゲータ
BEMSアグリゲータとは、経済産業省の補助事業「エネルギー管理システム導入促進事業」において、中小ビル等にBEMSを導入するとともに、クラウド等によって自ら集中管理システムを設置し、中小ビル等の省エネを管理・支援する事業者のことをいう。選定されたBEMSアグリゲータの中には、ESCO事業者も含まれていた。
2013年9月に、本補助事業の予算が東日本大震災の復興予算を流用したものであることが報道され、事業が打ち切られることとなった。詳しくは、記事「BEMSアグリゲータ」を参照のこと。
脚注[編集]
- ^ a b c 「ESCO導入のための情報提供及び調査事業終了のお知らせ」財団法人 省エネルギーセンター 2009年4月 (削除済みのページ)
- ^ 財団法人 省エネルギーセンター パンフレット『ESCO導入のてびき (自治体向け) 』 2006年8月
- ^ 事業者がESCO事業の実施を検討する際には、期間が長くならないこと (10年程度以下) が判断材料のひとつである。調査事例として、愛媛県今治市「今治市地域省エネルギービジョン 重点テーマに係る詳細ビジョン - ESCO事業可能性調査」 (2006年1月) p.89を参照。
- ^ 産業構造審議会環境部会地球環境小委員会・中央環境審議会地球環境部会合同会合 (第2回) 議事要旨 2006年12月13日
- ^ a b ESCO事業の実施にあたってはその効果を検証するために、事業実施前のエネルギー消費量や水使用量を示すベースラインを取り決めることとなる。ESCOが保証するのは省エネルギー技術の導入等に伴う削減効果であり、外的な要因 (気象や稼働率等) が変動した場合については保証の範囲外であることから、ベースラインの修正が必要になる。
- ^ a b 東京都は3つの都立病院においてESCO事業を導入したが、事業期間中には大幅な改修工事等 (病床数を増やすなど) がしにくいことが問題点となった。また、今後のESCO導入はない見込みという。「都立病院で分かったESCOの功罪」月刊エネルギーフォーラム 2013年10月号 p.31
- ^ a b c 富士経済『電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2010 (下巻 : エネルギーソリューション編) 』2009年11月30日 p.8「2. 省エネ改修工事におけるESCO市場分析及び将来予測」
- ^ a b 一般社団法人 ESCO・エネルギーマネジメント推進協議会「ESCO市場規模調査結果」を参照。 ただし、この調査では、「ESCO事業 (ギャランティード・セイビングス契約、シェアード・セイビングス契約) 」と「その他 (ESP、オンサイト発電など) 」が合わせて集計されていることに注意。
- ^ 日本銀行 学生向けコンテスト論文「ESCO事業を利用した環境金融の育成 (東京経済大学 2009年)」におけるESCO事業者へのアンケート
- ^ リース会計基準の改正によりESCO事業が衰退することは事前に予想されていた。「会計リース基準の見直しでESCO事業は衰退か」月刊エネルギーフォーラム 2007年7月号 p.52
- ^ 米国のGDPあたり一次エネルギー消費量は日本より多く、2009年以前においては2倍以上であった。資源エネルギー庁「エネルギー白書」等を参照。 また、人口1人あたりのエネルギー消費量も、米国は日本の2倍程度で推移している。The World Bank "World Development Indicators - Energy use (kg of oil equivalent per capita)" 等を参照。
- ^ NTT建築総合研究所 研究報告 (2003年度) 「海外における電力自由化状況とニュービジネス」p.6
- ^ 官公庁施設の面積あたり一次エネルギー消費量は、一般の事務所と比べて4割程度小さい。財団法人 建築環境・省エネルギー機構「非住宅建築物の環境関連データベース検討委員会 平成20年度 報告書 (抜粋)」2009年5月 p.2
- ^ ESCO推進協議会 編著『ESCO導入ガイド 本格的導入事例126』財団法人省エネルギーセンター刊、2007年2月29日発行 ISBN 978-4-87973-339-9 紹介事例の過半で何らかの補助制度・支援策が利用されている。
- ^ 財務省 国有財産の有効活用に関する検討・フォローアップ有識者会議 (2008年5月15日) における (株) 山武 (当時) へのヒアリング
- ^ ランドブレイン『平成20年度 中小企業の省エネにおける実態調査 報告書』2009年3月 . 中小企業庁委託調査報告書
- ^ 商人舎 「<連載>スーパーマーケットの省エネ環境戦略 - ESCOの問題点」 2011年4月11日
- ^ a b 富士経済『電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2012 (下巻 : エネルギーソリューション編) 』2011年12月16日 p.32「6. ESCO市場動向と各社事業展開状況」
- ^ 富士経済『2013 エネルギーマネジメントシステム市場実態総調査』2013年7月1日 p.233
- ^ 富士経済『電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2013 エネルギーソリューション編』2012年10月23日 p.17
- ^ 日本総合研究所 井熊均 編著『2020年、電力大再編 - 電力改革で変貌する巨大市場』日刊工業新聞社 2013年5月31日 ISBN 978-4-526-07082-2 p.126
- ^ 「ESCO事業導入研究会報告書」財団法人 省エネルギーセンター 1998年3月 . この報告書は現在削除されている。
- ^ a b 杉山大志・木村宰・野田冬彦 共著『省エネルギー政策論』 エネルギーフォーラム刊、2010年11月13日発行 ISBN 978-4-88555-381-3 . 省エネルギー政策の効果について、関係者への広範な聞き取りを含めて詳しく調査・分析されている。
- ^ 米国産業診断センター (Industrial Assessment Center) の "IACプログラム"
- ^ なお、ESCO事業は、設計、工事、維持管理等それぞれの役割を担う複数の企業で構成されるコンソーシアム等により実施されることが一般的であり、当然ながら、それぞれの企業においては、各関係法令 (建築士法、建設業法等) に基づく免許・許可等が必要である。
- ^ 2016年5月にESCO推進協議会から改称
- ^ 機関誌「ESCO推進協議会ニュースレター」各号を参照。なお、会員数に関する情報が掲載されていない号もある。
- ^ 機関誌「ESCO推進協議会ニュースレター 2006 Oct」p.6
- ^ 富士経済『2012 エネルギーマネジメント関連市場実態総調査』2012年3月26日 p.245
- ^ 一例として、「青森県のインハウスエスコ事業」 2008年7月1日
- ^ 電力中央研究所 木村宰「地方自治体による節電対策の進め方」 2011年7月7日