博士 Ⅳ【中】博士号の種類/1991年改正以降

 

各国の制度

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博士号の学位制度は、国によって異なる。

アメリカ合衆国

1861年、アメリカで初めてDoctorate of Philosophy (Ph.D.)を授与したイェール大学

アメリカでは、学術による(専門博士でない)博士は、伝統的にDoctor of Philosophyの学位を授与される。このPhilosophyは一学問分野としての哲学ではなく、広く学術一般を意味し、Ph.D.と略される。また、大学によっては、Doctor of ScienceをPh.D.の替わりに選択することができたり、Doctor of Philosophyとは名称の異なる学位を授与することもある。

一般的に、Ph.D.の学位には専攻分野が添えられ、学位保持者の研究分野を明確にすることが多い。例えば、政治学の研究において授与された博士号であれば、Doctor of Philosophy in Political Scienceとなり得るし、環境科学の博士号であれば、Doctor of Philosophy in Environmental Scienceとされるであろう。

また、Ph.D.の学位ではなく、専攻ごとに細分された学位を授与する場合もある。例えば、工学における博士号で、Doctor of Engineeringという学位が授与されることもある。ここで、工学は、元来Liberal Artsに含まれておらず、基礎的な研究を重視する学術を追求する分野として考えられていない場合があることに注意しておきたい。さらに、Ph.D.の代わりに、Doctor of Scienceという学位を理科系の専攻に用いる大学もある。

また、純粋な基礎研究以外に、研究結果を実際に応用することを強調したプログラムでは、Ph.D.の学位を授与することは少なく、下記のような学位を授与することが多い。

  • Doctor of Theology(略称: ThD)(日本の博士(神学) に相当)
  • Doctor of Psychology(略称: PsyD)(日本の博士(心理学) に相当)
  • Doctor of Education(略称: EdD)(日本の博士(教育学) に相当)
  • Doctor of Musical Arts(略称: D.M.A.)(日本の博士(音楽) に相当)
  • Legum Doctor(略称: LL.D.)(日本の博士(法学)に相当)
  • Doctor of Social Science(略称: D.S.Sc.)(すでに社会科学系の博士号を持つものが2つ目に取得する社会科学系博士号)

これらの学位においても、名称の違いは大きい。

また、一部の学位は、専門資格の取得の条件になっているが、日本のケースと異なることがある。例えば、PsyDは、アメリカでは5年間のフルタイム就学が必須であるが、日本では、臨床心理士は、修士号取得者が取得できる。アメリカでは、州政府が認定する臨床心理士は臨床心理学者であり、PsyDが必要だが、修士レベルの心理臨床従事者は、州政府の資格である心理カウンセラーという別資格を持つ。アメリカを含めた欧米では、弁護士、医師、歯科医、眼科医、臨床心理士、一部の看護師等の高度専門職従事者は往々に博士号が必須である。アメリカ国内の州では、博士号保持者以外が心理学者、または臨床心理士と自称し、臨床行為を行うことは違法である。

イギリス

イギリスでは、研究博士号は資格単位フレームワーク(QCF)においてレベル8であり、PhD又はDPhilと略記される(DPhilはオックスフォード大学サセックス大学バッキンガム大学)。名誉博士号については、Doctor of Engineering等のようにofを用いて表記される。標準的な修学期間は多くの場合、修士号取得後3年間である。


イングランドウェールズ北アイルランドにおける資格単位フレームワーク(QCF)

オーストラリア

オーストラリアにおける博士号(Doctoral degree)は、オーストラリア教育訓練省の定める豪州資格フレームワークにおいてレベル10とされる[11] 。