>  >  > 世界初の「宇宙国家」が国民募集中!

 

 

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 ついに現実がここまで来てしまった! なんと、「宇宙国家」の建設プランが着々と進行しているというのだ! SFの世界を地で行く壮大な計画に世界が驚愕している。

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画像は「アスガルディア公式」より引用

■宇宙国家「アスガルディア」

 英紙「The Guardian」によると、科学者と法律の専門家チームが、宇宙空間に国家を建設、国連での国家承認を目指していると明かしたという。世界初の宇宙国家は、北欧神話に登場する王国「アースガルズ」にちなんで「アスガルディア」(Asgardia)と名付けられる予定だ。

 公式ウェブサイトによると、アスガルディアの目的は「土地の所有をベースにした国家の法律に縛られない独立したプラットフォームを提供すること」だというが、同プロジェクトを指揮するナノ科学者であり、ロシア人実業家のイーゴリ・アシュルベイリ氏によると、アスガルディアとなるのは来年打ち上げ予定の衛星一機だけとのこと。そのため、たとえアスガルディア国民がいたとしても、地球に居住することになるという。

「アスガルディア国民は物理的には地球に居住することになります。つまり、彼らは地球上の異なる国々に住むということです。ですから、引き続き自分が所属する国家の国民であり続けますが、同時にアスガルディアの国民でもあるというわけです」(アシュルベイリ氏)

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アシュルベイリ氏「アスガルディア公式」より引用

 また、アスガルディアが国家として承認されることで、宇宙利用の規制に関する議論をオープンにしたいと考えているようだ。現行の国際宇宙法では、宇宙空間に何かを打ち上げた場合、そのモノに対する責任は打ち上げた国家が負うものと規定されている。しかし、アシュルベイリ氏はその責任を地球上の国家から宇宙空間の国家のほうへ移すべきだと主張している。

「既存の宇宙開発機関は各々の国家の利益を追求しています。そして、そういった機関を持つ国は極めて限られているのです」(同)
「最終的な目的は、地球保護のための法的基盤を築くことと、宇宙へのアクセス手段を持たない国々にも宇宙開発技術への通路を開くことです」(同)

 

■「地球保護シールド」の建設、「スペースコロニー化」も

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画像は「The Guardian」より引用

 宇宙法が専門の英サンダーランド大学クリストファー・ニューマン教授によると、今回のプロジェクトは、1960年代に締結された宇宙条約に伴い変化してきた宇宙空間の地政学的状況を反映しているという。また、教授はプロジェクトに一定の評価を与えつつも、実現には様々な困難があり、現行の国際法に適するかどうかも分からないという。

「あらゆる意味でアスガルディア計画は興味深く、今後どのように進展するか楽しみです。しかし、彼らは現行宇宙法の完全な見直しを主張していますから、そのためには国際宇宙法上のあらゆる困難を乗り越えなくてはなりません」

 前途多難ではあるが、アスガルディアの存在意義は宇宙法の見直しだけにとどまらない。プロジェクトチームは他にも様々な計画を練っているという。たとえば、スペースデブリや隕石など宇宙から降り注ぐ脅威から地球を守るための保護シールドの制作、アスガルディアへの人類移住などだ。とはいえ、その計画がいつ実現するかは明かされていない。

 まだまだ不明瞭な点が多いアスガルディア計画であるが、なんと、14日時点での応募総数は16万137人! 国連に国家承認を求めるための規定人数(10万人)を軽々と超えてしまった! これで本格的に宇宙国家建設への機運が高まってきたと言って良いだろう。現在も募集は継続中なので、興味がある読者は応募してみては如何だろうか?
(編集部)


参考:「Asgardia」、「The Guardian」、ほか