ギフテッド

Edit-find-replace.svg

この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2009年11月)

Question book-4.svg

この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。
出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2010年9月)
曖昧さ回避 この項目では、高い潜在能力を持つギフテッドと呼ばれる英才児について説明しています。努力(先取り学習)で高い学力を身に付けた高達成者と呼ばれる英才児については「早期教育」をご覧ください。

ギフテッドGifted, Intellectual giftedness)は、先天的に、平均よりも、顕著に高度な知的能力を持っている人のこと。または、先天的に、平均よりも、顕著に高度な知的能力を指す。 1993年、アメリカ教育省は、ギフテッドを「ギフテッドとは、同世代の子供と比較して、並外れた成果を出せる程、突出した才能を持つ子供のことである。」と定義している。 ギフテッドにおける高度な知的能力の傾向は、誕生時点から、生涯にかけて見られる。

ギフテッドは、外部に対する世間的な成功を収めることではなく、内在的な学習の素質、生まれつきの学習能力を持つことを指す。

 ギフテッドは、英才児、優秀児、天才児などと和訳されているが、日本では、そのような子供を「飛び級できるような賢い子」という一面でしか捉えられておらず、誤解が生じている。そのため、本項では、英才児、優秀児、天才児などと和訳せず、「ギフテッド」と呼称する。

 ギフテッド (gifted)は、贈り物を意味する英語の「ギフト (gift)」 が語源であり、神または天から与えられた“資質”、または遺伝による生まれつきの「特質」と言える。「ギフテッドの才能を伸ばす」という言い方はできる。 しかし「こうすればギフテッドになる」とは言わない。

 ギフテッドは早期教育や、他人よりも早く多く習得する先取り学習によってギフテッドに成長するようなことはない。  ギフテッドは自ら常に多様な「知的刺激」を切望して満たし、自分の好みの学習方法で、自分の興味のある分野を極めて深く掘り下げて探求する傾向にある。  そのため、ギフテッドは結果的に同年者より先のレベルに到達することが多い。ギフテッドは、教育熱心な保護者主導で幼児教室に通わせたり、または業者の教材を子供に買い与える受動的な早期教育とは一線を画する。ギフテッドは、 タレンテッドTalented)という言葉と併用され、「ギフテッド」や「タレンテッド」への教育は、ギフテッド・タレンテッド教育 (GATE, Gifted and Talented Education) と呼ばれている。ギフテッドが、全般的、学術的な才能を指すのに対して、タレンテッドは芸術的な才能を持つ人物を意味する。

ギフテッド・クラスにて理科の授業を見学するブッシュ大統領夫人(中央)

しばしばエンリッチメント・プログラムに導入されるチェス

 

目次

1多重知能の概念から見たギフテッド
1.1多重知能の概要
2ギフテッドの判別法
2.1概要
2.2ギフテッドの定義
2.3様々な選別方法
3ギフテッドの特徴
3.1OE(Overexcitabilities、過度激動)
4精神的、社会的な問題
4.1OE(過度激動)に起因する問題
4.2気分的うつ
4.3孤立
4.4アンダー・アチーブメント(低達成)
4.5完璧主義
4.6不均衡
4.7ギフテッドと他のタイプとの違い
4.7.1天才
4.7.2サバント
4.7.3定義のゆらぎ
4.8一般社会の理解
5優秀な子供とギフテッドの比較
6二重に例外的な場合
7日本にギフテッドが浸透しない理由
8誤診の問題
9脚注
10ギフテッドを扱った映像作品
11関連項目
12外部リンク

 

多重知能の概念から見たギフテッド

詳細は、en:Theory of multiple intelligences多重(知能/知性)理論)も参照

多重知能の概要

多重知能という仮説概念がギフテッドに関連付けて考えられてきている[1]。これは、学習の技術や方法ではなく学習の姿勢として説明されている[2]。知能には8種類のもの、あるいは人が周囲の世界を学習・把握する際に8通りの形があるとする。すなわちインターパーソナル(対人関係に関するもの)、イントラパーソナル(個人の精神内界に関するもの)、身体-筋肉感覚的、言語的、論理-数学的、音楽的、環境把握、空間-視覚的把握である。

Howard Gardner英語版)は『Frames of Mind』の中で、ギフテッドの知能は古典的な知能の分野の他にもあると述べている。多重知能理論の概念はそうした、さらなる知能の形が存在する可能性を気づかせ、多様なカリキュラムを提案するものである。Gardnerは多重知能には以下のような種類があると示唆している:言語的知能、論理数学的知能、音楽的知能、空間的知能、身体運動的知能、博物的知能、対人的知能、内省的知能。

ただし、知能がこうした様々な形で複合的に発現するとしても、それぞれが別個の知能と言えるかどうかは実証データが乏しく、個人的見解の域を出ていない。こうした知能を持つギフテッドの生徒の選別には、単純なテスト方法はないために注意を要する。観察によって評価することが、おそらくもっとも的確だが同時にもっとも主観的な評価方法でもある。つまり、現状では的確な判断は主観の範疇をでない。また、多重知能理論はギフテッドの生徒にだけ適用されるものではなく、すべての生徒をより的確に評価する指針にもなりえる。また多重知能の広範な概念は、より子供の立場に立った教育方法を導き、より多くの子供たちのニーズに応えられるものだと考えられる[1]

ギフテッドの判別法

概要

ギフテッドの生徒の指導には特別な配慮が必要だと考えられ、学校機関が重要な課題として「ギフテッド」の公式な選別方法を模索し始めた。20世紀にはしばしばIQテストを使ってギフテッドを診断していたが、近年の知能の研究は、このようなテストの妥当性や限界について大きな疑問を投げかけている。これまで北米やヨーロッパの学校は通常の学校教育では能力を引き出せない生徒たちを見つけ出そうと試み、そうした生徒の才能を伸ばすために追加教育あるいは特別な教育を提供しようしてきた。ギフテッド教育においては、こうした人々(子供、大人を含めて)を見つけ出すことがおおきな課題である。したがってギフテッドとは何かを知るためには「ギフテッド」という用語を用いる機関がどのように、これを定義しているか注目する必要がある。

ギフテッドの定義

かつて心理学者や精神科学者たちはルイス・マディソン・ターマン英語版)の1906年の研究を踏襲し、長年に渡ってギフテッドは高知能指数と同意義だと考えていた。この遺物的概念は今日でもギフテッドの概念の中にいくらか残っている。ただし当初から他の研究者たち(たとえばレイモンド・キャッテル(Raymond Cattell)やジョイ・ギルフォード(Joy Paul Guilford)、Thurstone英語版))は知性とはそのような一元的な形で表せるものではなく、もっと多面的な分析が必要だと提唱していた。

1980年代1990年代に行われた研究によって知性は複数の要素からなるという考えを支持するデータが得られた。Sternberg英語版)とDavidson英語版)による『Conceptions of Giftedness』の中の『giftedness』の再研究において、それが特に顕著に検証されている。そこで提示された様々なギフテッドの概念は、それぞれ別個であるにも関わらず様々な面で互いに関連性がある。ほとんどの研究者はギフテッドを複数の資質(すべてが知的な要素というわけではない)として定義している。

またIQ値は、学問や芸術の実質的な創造的貢献を計測することができないとして、ギフテッドの選別には不適切であると考えられている。

Joseph Renzulli英語版) (1978) の「three ring定義」は詳しい研究から、得られたギフテッドの概念の1つである。これは、ギフテッド個人というより、ギフテッドの行動の定義であり、その行動は、以下の3つの基本要素から成り立っている。すなわち、平均以上の能力、高い目的達成意識、高い創造性という3つの特徴が、互いに関連しあい、それを反映した行動がRenzulliによるギフテッドの定義である。ギフテッドの行動を実現できる者とは、こうした3つの特徴を総合的に持っている人、あるい相互的に開発できる能力のある人であり、かつ、何からの形で有益な活動として活かせる人である。そして、こうした人々には通常の学校の教育カリキュラムでは、提供されない様々な形式の学習の機会と支援が必要である。

スーザン・K・ジョンセン英語版)は『ギフテッドの子供の判別法:実践ガイド』の中において、ギフテッドの生徒とはアメリカ合衆国による「ギフテッド」、および、「タレンテッド」の定義に含まれた分野において、高い潜在能力を示す生徒であると説明している[3]

子供、生徒、若者に対して、ギフテッド、および、タレンテッドという言葉が用いられた場合、知性、創造性、芸術、リーダシップ、あるいは特定の学術分野において高い潜在能力を示し、また、そうした能力をフルに開発するには通常の学校教育にはない支援や活動を必要とする子供、生徒、若者を意味する[4]

この定義の一部、あるいは、すべてが、アメリカ合衆国の大半の州において、採用されており、また、大半の州が下記のテキサス州の例と似通った定義を用いている。

ギフテッド・タレンテッドの生徒とは、同じ年齢・経験・環境を持つ子供と比較して、著しく高いレベルを達成する、あるいはその可能性をうかがわせる子供。知的能力、独創性や芸術の分野において高い実行能力を示す、並外れたリーダーシップ能力を持つ、あるいは特定の学術分野で秀でている[5]

ギフテッドの定義の大きな特徴として、以下の事柄が挙げられる。

  • ギフテッドの能力を発揮するのは、学業に限らず多様な分野である。
  • ギフテッドは、他のグループとの比較に基づく(同学年の生徒たち、同年の子供たち、同じ経験や環境を持つ子供たちなど)。
  • ギフテッドは、能力を伸ばす教育的支援が必要である。

しかし、上記3点だけでは、努力で高学力を身に付けた優等生とギフテッドのふるいわけが十分にできないという懸念がある。

ポーランドの心理学者ドンブロフスキ (Dąbrowski) が指摘する、刺激への激しい反応や敏感さ、自己批判能力、高い精神性や感情性といった、より高い人格へ成長する潜在能力も含まなければ、ギフテッドの定義としては不十分だという意見がある[6]