例外的在日特権の一例Ⅰ七項目の確認事項【極一部】
同和関係納税者に対する税務事務特別処理要綱
この「七項目の確認事項」とは別個に、1968年以降、大阪府は「同和関係納税者に対する税務事務特別処理要綱」を毎年一部改正しつつ作成している[17]。これによると、個人事業税、自動車税、自動車取得税、不動産取得税の4税が「財団法人大阪府同和事業促進協議会の協力を得て申告書又は申請書を提出した納税義務者」に限って減免される[17]。
また、大阪府が府税事務所長名で府税の督促をする場合、一般府民向けでは
府税についての催告別紙同封の納税書に記載の府税につきましては、これまでも催告していますが、まだ納付されていないので、この納付書により◯月◯日までに最寄りの銀行又は郵便局へ納付して下さい。延納金は同日までの計算になっています。期日を過ぎても納付されない場合は、滞納処分をすることになりますので御申し添えます。
との文面が用いられるが、同和地区住民向けでは
府税の納税についてお願い府税の納税につきましてはかねてからご協力をいただきお礼を申し上げます。さて、別紙同封の納付書に記載の府税につきまして、まだ納付されていませんので、この納付書により◯月◯日までに最寄りの銀行又は郵便局へ納付して下さい。なお、期日までに納付できない事情がありましたらご相談に応じたいと存じますので担当者までご連絡下さい。
との文面が用いられ、同和地区住民に対しては滞納処分という切り札を取り下げ、より低姿勢な内容となっている[17]。
市町村民税についても同じ減免措置がとられており、大阪市の場合、1972年6月の市財政局長通知により、大阪市同和事業促進協議会(市同促)を通じて財政局に一括申請すれば35平方メートル以下の土地・家屋は固定資産税と都市計画税が全額免除され、それ以上の土地・家屋については50パーセントが減税される[17]。このような特別措置について、地域改善対策協議会の意見具申「今後における地域改善対策について」(1986年12月)では「一部にみられるような特別な納税行動については、その是正につき行政機関の適切な指導が望まれる。同和地区の納税者について、一般の納税者と異なった配慮をすることは、決して、同和問題の解決という精神に沿ったものとはいえない」[18]としている。
なお、減税された金の一部は手数料として企業連に納められ、その一部が企業連の上部組織である部落解放同盟に納められる仕組みとなっている[17]。この手数料は年間数百万円にのぼり、部落解放同盟の一支部の年間収入に匹敵するほどの比重を占めている[17]。
全日本同和会の脱税事件
この「七項目の確認事項」は部落解放同盟と国税局のあいだに結ばれた取り決めであって、ほかの同和団体には適用されなかったが、1980年、全日本同和会京都府・市連合会(会長・西田格太郎、副会長・鈴木元動丸、事務局長・槍丸富貴雄=当時)も大阪国税局に「私たち全日本同和会の組織が住民の税務申告の手伝いをした際には、解放同盟のやっているのと同じように我々の申告をそのとおり認めてもらうように」と要求した[19]。これを受けて上京税務署は一旦「解放同盟と同じように配慮させてもらいます」と回答したが、1981年には「あなた方の組織は自民党系なのだから、ゼロ申告などという無茶なことは言わずに、本来の税金額のうちほんの少しでもいいから払ってほしい」と全日本同和会に頼むようになる[19]。最終的に、1982年から本来の税金額の5パーセントから20パーセントは支払うことで合意が成立[19]。この脱税行為に必要な架空債務を作るためのダミー企業として、全日本同和会は1985年5月に「有限会社同和産業」を設立した[19]。
全日本同和会によるこの行為は、1985年5月、16億4000万円を超える大型脱税事件として摘発を受け、全日本同和会副会長ら3人が逮捕され、実刑判決を受ける事態に発展した[19]。このとき、全日本同和会に対するカンパ名目で幹部らが37名の納税義務者から受け取った金額は7億3600万円にのぼる[19]。
このように部落解放同盟の真似をした同和団体だけが摘発され、「脱税請負の本家」である部落解放同盟が摘発を免れたことには批判の声も上がった[20]。
部落解放同盟の元顧問税理士の指南による脱税事件
2010年、元小倉税務署長の税理士(以下T)ら3名が法人税法違反の容疑で逮捕された[21]。3名は北九州市の不動産会社アイデアル社の所得を実際より15億円ほど過少申告し、4億4000万円を脱税した罪で起訴され[22]、うちTは「部落解放同盟を通じて税務申告すれば審査が甘くなる」と提案して見返りに4000万円を受け取った事実が福岡地裁に認定され、2011年に懲役1年6月の実刑判決を受けた。ほか2名の被告人も有罪となった。
Tの弁護人は、被疑事実について「脱税ではなく同和企業を対象にした固定資産税の特別控除」であり、国税庁の通達に基づく行為であったとして無罪を主張。Tはまた「7項目の確認事項は前任者から引き継ぎをうけ、私も後任に引き継いだ」、「同和特別控除は、国の法失効後も、部落解放同盟の強い要望で、水面下で慣行化」していると証言し、部落解放同盟福岡県連の担当役員2人に600万円の謝礼を渡した事実を認めた[23]。のち、2012年に福岡高裁で執行猶予つき有罪判決が確定した。