傷がもう治っただと?米軍が自己治癒力を備えたウルヴァリンのような兵士をつくる研究(DARPA)
2014年09月16日 ι コメント(34) ι 知る ι 料理・健康・暮らし ι #
米国防高等研究計画局(DARPA)はこれまで、自軍兵士を屈強のものとするため、ターミネーター化やアイアンマン化する開発を推し進めてきたが、今度はウルヴァリンである。
これは特殊な装置を兵士の神経回路器官に自動制御調節装置を埋め込むことで自己治癒能力を高めるというもので、「エレクトRX(エレクトリックス)」プロジェクトと呼ばれている。
エレクトRXの狙いは、高精度かつ侵襲性を最小限に抑えた装置を神経回路に埋め込むことでを調節し、人体の健康状態を回復/維持する技術の開発である。
またエレクトRX技術は、特定の神経回路の構造と機能、および健康や病気におけるその役割の解明を目的とする科学的研究の推進にも役立つと期待される。
可能性のある対象としては、最近特定された免疫機能の調整に関わる回路も含まれており、関節リウマチ、全身性炎症反応症候群、炎症性腸疾患など、さまざまな炎症性疾患の治療研究において成果が期待できる。さらに、てんかん、外傷性脳損傷(TBI)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ等の脳疾患や精神疾患における抹消神経刺激治療の改善も期待される。
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DARPAによれば、この装置によって神経シグナルを調整し、治療に対する患者の反応を常時モニタリングすることで、怪我からの回復を促進させるのだという。この技術によって医師の診断やモニタリング方法、怪我や病気に対する治療方法は根本的に変わることになると、DARPAのプログラムマネージャー、ダグ・ウェーバー氏は語っている。
想定しているのは、極小の自動制御ペースメーカーのような、薬物利用に代わる閉ループシステムである。これによって健康状態を常時評価し、それに合わせて器官の健康的な機能の維持を助ける刺激パターンを与え、生体自体のシステムを利用しながら患者の健康回復や健康維持を増進する。
米国防総省の公式ブログで述べられている通り、このコンセプトは新しいものではない。神経制御を利用して慢性的な炎症疾患などの病気を治療する装置は既にいくつか存在する。しかし、それらは精度に難があるため副作用を引き起こしたり、戦場で持ち運ぶには大きすぎたり、外科的な移植まで必要になったりと、さまざまな欠陥があった。
DARPAはエレクトRXで目標とするのは、人体の神経繊維とほぼ同じ超小型サイズで、注射針によって体内に注入可能な、移植においても侵襲性を最小限に抑えた装置にすることだとしている。
これは銃で撃たれた傷が魔法のように塞がる装置ではないものの、地球に住む誰もが望むであろう怪我や病気の早期回復につながることだろう。
via:darpa・原文翻訳:hiroching
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