2015.01.05

 

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■『ウエストワールド(1973年作 原題:Westworld)』

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画像は、『ウエストワールド』(ワーナー・ホーム・ビデオ)

 ただの故障でも、人間の能力を上回るロボットを敵にまわすと怖いという映画である。舞台は近未来、砂漠に建設された大人向けアミューズメント施設「デロス」だ。

デロスは、

古代ローマ帝国
中世のヨーロッパ
・開拓時代のアメリカ西部

 というエリアに分かれており、訪れた観光客はそれぞれ好みの世界で、ローマの貴族や中世の騎士、あるいは西部のガンマンになりきり、自分のやりたい事をして過ごせるのである。

 それぞれのエリアで観光客の相手をするは、施設の中央コンピュータに管理されたロボットで、観光客を傷つけることは絶対出来ないようにプログラミングされていた。主人公は西部の世界…“ウェストワールド”でガンマンになり、ロボットガンマンを散々撃ち殺して、西部時代を満喫していたが、そんなデロスの舞台裏では、ロボットが指令に従わず、人間を襲うという不具合が発生していた。

 デロスを経営する上層部は、小さいな事故だと判断して施設の運営を強行するのだが、やがてロボットは人間に対して完全に反旗を翻し、観光客を殺し始めるのである。

 映画でも原作小説でも、ロボットたちが人間を襲い始める理由は、ハッキリ明記されておらず、単なる故障だと思われるが、管理コンピュータが中央制御室を真空にして、施設をコントロールするオペレーターを皆殺しにするシーンを見ると、コンピュータの反乱だとも言える。

 作品のメイン舞台である“ウエストワールド”で、主人公たち人間を狩るロボットは、西部劇の名作『荒野の七人』で主人公を勤めたユル・ブリンナーで、衣装も『荒野の七人』と同じだったりする。ヒマな人はチェックしてみよう。

動画は、YouTubeより

 


■『ターミネーター(1984年作 原題:The Terminator)』

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画像は、『ターミネーター』/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

 軍事の全てを管理する国防コンピュータの反乱…といえば、すでにありがちな設定だが、コンピュータと人類の戦いを直接描いたのではなく、そこにタイムマシンを絡めたストーリーがメインである。

 人類に対して反旗を翻したコンピュータ“スカイネット”と人類の戦いは、人類の勝利で終結しようとしていたが、スカイネットは人類のリーダーであるジョン・コナーが生まれるのを阻止しよう計画する。

 未来にジョンを産むことになるであろう、サラ・コナーという女性を殺害するため、殺人ロボットターミネーターを現代(映画製作当時のリアル現代1984年)にタイムマシンで送ったのである。人類はスカイネットを制圧した直後、その事実を知って、ターミネーターの行動を阻止するため、人間の戦士を同じ時代に送り込み、人類の存亡をかけた戦いが始まった…。

 そんなわけで、この作品は直接的にコンピュータと人類の戦いを描いたものではない。しかし生体組織をまとったロボット、ターミネーターのリアルさや、何度撃退しても襲ってくるターミネーターしぶとさは、SFホラーとして今観ても十分魅力的な映画だ。『ターミネーター』は大ヒットして、続編や世界観を共有したTVドラマが製作されている(TVドラマ『ターミネーター:サラ・コナークロニクル』は『ターミネーター2』の続編で、映画『ターミネーター3』とは関係のない、パラレルワールドになっている)。

 ちなみにこの映画でターミネーター役を演じたアーノルド・シュワルツネッガーは、企画当初ターミネーターからサラを守る人類戦士・キース役をオファーされたのだが、シナリオを読んで自らターミネーター役を演じる事を希望した。すでにハリウッド俳優としてブレイクしていた、シュワルツネッガー氏のワガママといえばワガママだが、結果的に作品をヒットさせた要因のひとつになっている。

動画は、YouTubeより

 

■『マトリックス(1999年作 原題:The Matrix)』

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画像は、『マトリックス』(ワーナー・ホーム・ビデオ)より

 SFX映画で新境地を開き、この作品以後パロディ映画だけではなく、様々な映画やドラマの映像に多大な影響を与えた名作である。ストーリーも凝っていてる。主人公は1990年代のアメリカで、SEの仕事をしながら裏の社会では名の知れたハッカーだ。

 しかし、実は主人公の暮らしている世界は、世界を支配しているコンピュータが作り上げたバーチャル世界なのである。この作品の世界観は、その昔人類と人工知能との戦いが繰り広げられた。しかし戦いに勝利したのはコンピュータだったのである。人類は最後の抵抗として、コンピュータの動力源である太陽光発電システムを無力化するため、天候を破壊し、それ以降、地球は分厚い雲に覆われてしまっている。

 コンピュータは新たな動力源として、人間を飼育して“生体電池”にしてしまい、電池としてエネルギーを搾取されている間、人間は“マトリックス”と呼ばれるバーチャル空間で暮らしている夢を見させられているのである。

 この事実に気づいた主人公は、すでにマトリックスから解放されている仲間と共に、全人類をコンピュータ支配から解き放つための戦いに身を投じる…。

 この作品において、なぜコンピュータが人類に反乱を起こしたかは描かれていない。しかし戦いの果てに人類はコンピュータに敗北して地下にもぐり、細々と反撃の機会を狙っているのである。

 トカナでもよく取り上げる「宇宙人が侵略話」も怖いが、人類の能力を上回るコンピュータが、いずれ人類を支配する未来は、それよりも現実味があるといえよう。

動画は、YouTubeより


 ところで、人類の終焉は本当に悲劇だといえるのだろうか? 「人工知能が支配する地球よりも、人類が暮らす地球のほうが素晴らしい」と自信をもっていえる人間社会でありたいものだ。