ユリシーズ【小説】Ⅳ梗概第二部【右】重要度〇位

 

第七挿話 アイオロス

ブルームは、『フリーマンズ・ジャーナル』のオフィスで立ち働いている。酒屋キーズの広告デザインのことで印刷工の監督と相談し、その広告の件を取りまとめるために競売所へ向かう。その間、同じ新聞社にディージーの投書を携えて来ていたスティーブンは、その場にいた若手弁護士オモロイ、マクヒュー教授、編集長クロフォードらを酒場へ誘う。ブルームとスティーブンは、ここでは出会わない。戻ってきたブルームは、広告の話をまとめようとするが、クロフォードに邪険にあしらわれる。スティーブンは、酒場への道すがら一同に二人の老婆の寓話を披露する。この挿話は、新聞記事のような小見出しを持つ断章形式で書かれている。

場面=新聞社、時刻=正午12時、器官=肺臓、学芸=修辞学、色彩=、象徴=編集長、技術=省略三段論法、神話的対応=編集長クロフォードがアイオロスに対応する。

第八挿話 ライストリュゴネス族

ディヴィ・バーンのパブ。ブルームは、ここで昼食のサンドウィッチを食べる。

ブルームは、新聞社を出て、古い広告を見るため国立図書館に向かう。その道すがら、オコネル橋でカモメたちのためにケーキを買って投げてやり、それから通りのサンドウィッチマンを見て、ミリーがまだ小さかった頃の幸福な生活を回想する。すると、昔の恋人ミセス・ブリーンに声をかけられて立ち話になり、彼女の夫が中傷的な葉書に対する名誉毀損裁判を起そうとしていることや、モリーの友人であるマイナ・ピュアフォイが難産で苦しんでいることなどを聞かされる。その後、ブルームは、昼食のためにバートン食堂に入りかけるが、客たちの汚らしい食べ方に嫌気がさしたのでやめ、代わりにディヴィ・バーンのパブで赤ワインとゴルゴンゾーラ・チーズのサンドウィッチを摂る。そして、図書館に向かうと、門前でボイランの姿を見かけて混乱し、あわてて隣の博物館に駆け込む。

場面=昼食、時刻=午後1時、器官=食道、学芸=建築、象徴=巡査たち、技術=蠕動、神話的対応=飢えが人食いのライストリュゴネス族の王アンティパテスに、歯がライストリュコネス族に、飢えがその囮に対応する。

第九挿話 スキュレとカリュブディス

アイルランド国立図書館。第9挿話の舞台。

国立図書館にて、スティーブンは年長の文学者たちを相手にシェイクスピアの『ハムレット』論を披露する。彼のハムレット論はシェイクスピアの伝記研究を基にしたもので、シェイクスピアの妻アンに対する性的劣等感やアンの不倫などを前提として、シェイクスピアの心情はハムレットではなく亡霊ハムレット王に投影されているというのがその骨子。途中からマリガンが加わり嘲笑的な批評を加える。図書館を後にするときに二人はブルームの姿を目にし、マリガンは彼が同性愛者だということを冗談半分に示唆する。

場面=図書館、時刻=午後2時、器官=、学芸=文学、象徴=ストラトフォードロンドン、技術=弁証法、神話的対応=文学談義の中のアリストテレス神学、ストラトフォードがスキュレに、プラトン神秘主義、ロンドンがカリュブディス、スティーブンがオデュッセウスに対応。