ポストトゥルース(真実の政治)Ⅰ基礎【前半】
インド
ザ・タイムズ・オブ・インディアのコラムニストAmulya Gopalakrishnanは、トランプとBrexitの類似点を指摘した。その一方、インドの重要課題は、2004年にグジャラート警察の警察官7名がイシュラット・ジャハーンという女性と同伴していた3人の男性を超法規的殺人(英語版)を偽装して殺害した「イシュラット・ジャハーン事件(英語版)」や、700人以上の死者が出た2002年のグジャラート暴動(英語版)における人権侵害でナレンドラ・モディ首相を非難する活動家ティーズタ・セタルバード(英語版)に対する継続中の圧力の問題などであり、訴訟における偽造された証拠や歴史修正主義は、「イデオロギーの行き詰まり」の結果生じていると評した。
環境政策
科学者の間でコンセンサスが取れている気候変動に関する科学的見解(英語版)は、人間の活動によって地球の気温は上昇し続けているというものである。しかし、いくつかの政党は、自身の政策に基づいて、地球温暖化に対する懐疑論を唱えている。これらの政党は、気候変動を避けるための環境政策を批判するために、ポスト真実のテクニックを使っていると批判された。オーストラリアでは、トニー・アボット首相が炭素価格付け制度(炭素税)を撤回、ジ・エイジ紙は、「ポスト真実の政治の最底辺」とアボット首相を批判した。
関連項目
- 大きな嘘(英語版):ヒトラーによってつくられたナチスのプロパガンダのテクニック。小さな嘘ではなく大きな嘘をつく。感情に訴えかけ、逆に知性に訴える部分は最少にする。要点を絞り、大衆の最後の一人がスローガンを理解するまで繰り返す、というもの。現代の商業マーケティングでも使われている。
- 高貴な嘘(英語版):社会の調和のために支配者層・エリート層が故意に流す嘘
- 偽情報
- 捏造された論争(英語版)
- トゥルーシネス(英語版):本当らしく聞こえる嘘、(証拠はないが)本当だと思わせる性質、嘘かどうか曖昧なこと
- イエロー・ジャーナリズム
- 反知性主義
- ポピュリズム
- 呪術的思考(魔術的思考)
- メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ:2001年に発売された小島秀夫によるゲーム。ポスト真実の未来を予見したと言われる。
出典
注釈
- ^ 「ユーモアのセンスのある暗黒と破滅」(Gloom and doom with a sense of humor)、 「スモッグの中の灯台」(A beacon in the smog)がキャッチコピー。
- ^ 「alternative」は元々は「ひとつのことを行ったあとに次のことをする」という意味だったが、現在では「選択肢や可能性として置き換え可能なもの」という意味でも使われている。
- ^ 「世界のデジタル化は、人の弱さを助長し、それぞれだけに都合の良い『真実』の生成を加速している。社会に満ちる『真実』の山を見てみるがいい……。(中略)『政治的正しさ』や『価値相対化』というキレイゴトの名の下に、それぞれの『真実』がただ蓄積されていく。(中略)世界は『真実』で飽和する。それが世界を終わらせるのだ。緩やかに。私達はそれを食い止めてあげようって言うの。(中略)我々が価値のある真実を選び取り、残すべき意味を紡いでやる。それがコンテクストの生成。」という愛国者達のセリフがある。
出典
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- ^ 其処當あかり DeNAキュレーションサイト問題。インターネットを「使う」人たちの反応とこれから ハフィントンポスト 2016年12月09日
- ^ [キュレーションメディア 盗用された側から見た問題点とは http://mainichi.jp/articles/20161217/k00/00m/040/039000c#csidx289a1cd3c047f1eab608b2b44d7e27a] 毎日新聞 2016年12月17日
- ^ 大量拡散の「韓国人による日本人女児強姦」はデマニュースか サイトは間違いだらけ BuzzFeed Japan 2017/01/25
- ^ 韓国デマサイトは広告収入が目的 運営者が語った手法「ヘイト記事は拡散する」 BuzzFeed Japan
- ^ 韓国デマサイト「大韓民国民間報道」が閉鎖に 管理人による書籍もAmazon.co.jpから消滅 ねとらぼ 2017年01月27日
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