経済の在り方は、結局、どこまでも欲に直結した形で推し進められ、ために、繁栄は瞬間的に燃え盛るばかりで、遅かれ早かれ、当然の帰結として破滅や破局という終焉を迎えることになります。本能剥き出しで突き進んで行けば、そこに理性が割り込む余地がなくなり、人が人らしく生きられるという理念などちゃんちゃら可笑しいものと化してしまい、狡猾で悪辣な強者のみが繁栄し、かれら個人の欲によって他者が犠牲になるという図式が確立され、固定化され、自業自得の結論が下されるのです。

現に今、われわれはまさにそうした時代に生きているのです。国家とは単なる形ばかりの名称にすぎず、国民はというと、自分さえよければそれでいいとする個人の集まりにすぎなくなっています。そんな社会がいつまでも健全を装って維持されるわけがありません。いずれ時間の問題で崩壊を来たし、野獣よりも野獣的な世界と化すことでしょう。

その時はすでにして世界各地で始まっています。人間であることにすっぱりと見切りをつけた者だけが生き残り、そうできなかった者が資本主義の無縁墓地に投げ込まれることになるでしょう。

しかし、そうはいってもこの戦争に勝者は存在しません。なぜなら、一時は勝ち組を実感できた者であっても、いずれは経済そのものの大破綻によって惨めな敗者の側へと追いやられてしまうのですから。それが世界の終わりということにならなければいいのですが。