常々思うことなのですが、日本のマスコミは本当に民主主義国家のマスコミなのでしょうか。報道の内容を知るにつけ、共同記者会見なるものをテレビで観るにつけ、何だか社会主義国家のそれを連想せずにはいられません。政府や役所が発表した通りの情報をそのまま垂れ流ししているようでは、広報とどこが違うのでしょう。それがマスコミの仕事なのでしょうか。
質問にしても著しく鋭さに欠け、勉強不足のせいもあって腰砕けで、予想外の切り口でもって相手がたじたじとなるような場面を作るわけでもなく、名のある政治家に一喝されただけでしゅんとしてしまい、総理大臣に名前を覚えてもらったというだけでもう一人前の記者を気取り、あげくの果てに悪の権化たる電力会社から莫大な広告料をもらい、ときには個人的に金を受け取り、今回のようなわが国の基盤を揺るがすほどの〈原発事件〉が起きてもなお、その素人的であまりにも横着な姿勢を改めようとせず、ひた隠しにされていた重大な情報を独自の取材によって世間の表へ引き出そうとせず、その間に事態はみるみるとんでもない方向へと突き進み、報道は後手後手に回り、結局、被爆しないでいい人々を被爆させてしまうような残念のひと言では済まない事態に陥ったのです。
日本のマスコミには、マスコミの命とも言うべき批判精神がすっぽりと抜け落ちています。事実を解明する気概など最初から持ち合わせていないのです。ために、大きく信用を失墜し、マスコミ離れに歯止めが掛からないのです。