普通(笑)の大学生の異世界国盗り物語  作者:ギリワン

一章 土豪編


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第四十九話 論功行賞

 

松永家は急激に領土が増えた。
 そのため土地ごとに生産性が変化する。
 それを理由に、人口何人という計算ではなく、今後は石高方式を採用することにした。
 一石は年間の生産高が金貨換算で、人口一人当たりの年収を金貨七枚で当面は計算する。
 これは六人家族で計算すると金貨四十二枚となり、凡その一家庭の平均的な収入に値するからだ。
 まだ細かい調整が必要だが、その辺りは追々おこなうとしよう。

 

「まずは戦功第一。ツツーイ一族家長、アレクセイに告げる。そなたらはナコルル丘に於いて、敵の猛攻撃を己が腕を犠牲にして食い止めた。そして息子達は敵将を見事に討ち取った。そなたらの活躍が無ければ、中軍は瓦解し我が軍は分断されていただろう。俺はその奮闘に報い、ナコルル丘周辺の壱千石に加え、金貨五百枚を与える。今後も精進し当家を支えるように」 【千石=千人=金貨七千枚=七億円・金貨五百枚=五千万円】

 

「続いて戦功第二は、三太夫ら戸隠衆。皆の知るように、彼らは少人数でココフ砦を内から崩壊させた。その働きにより我が軍はあの要害を無傷で手に入れることができた。また長期間の包囲をする必要もなくなり、戦費の軽減と他家が付け入る隙を与えさせ無かったことも大きい。その貢献に報い三百石を加増する。また亜人達を育て上げるための支度金も兼ねて、金貨壱千枚を与える」 【三百石=三百人=二億千万円・金貨千枚一億円】

 

さて戦功第三は、ナターリャさんにする。あなたもナコルル丘にて見事に迂回突破を成功させ、敵を背後から突いた。少し突出する嫌いはあるがここは大目にみます。今回は五百石の加増をさせてください」

 

「では続いては戦功とは関係なく、ロマノフ家のエゴール殿とアキモフ家のボリス殿にお話したいと思います。両家はこの度もココフ砦へと兵を出していただき、有難うございました。お陰で我々はナコルル丘にて勝利を収めることができました。その恩義に報いるため、今回は暫定的ですが五百石ずつを隣接する領地から割譲したいと思います」
 

「わかった。ではエゴール殿の申し入れを受け入れることとする。無論俺もその思いに報いなければならないので、将来ガチンスキー領を取った暁には、御家にそこを丸々差し上げることを約束しよう」

 このタイミングならば不自然ではないと思い、エゴールへの礼の意味も込めて密約を公表することにした。
 満足気な表情のエゴールの隣で、見事なブーメランを食らったボリスが口 をあんぐりとしている。

「勿論ボリス殿には、将来バロシュ領への国替えを考えているので、安心してください」