1980年に起きたハント兄弟の買い占め事件
さて、1970年以降の銀相場を振り返って見ると、典型的なバブルと呼べる2度の大相場がありました。最初の大相場は、1980~1981年にかけて起きた“ハント相場”です。
これは、「銀の木曜日」という別称がある有名な相場で、米国の資産家(投機家)であるハント兄弟による銀の買い占めが発端となり、価格が一時50ドル前後(トロイオンス当たり、以下同)まで急騰しました(注:グラフは月中平均値であるため50ドルには達していない)。
また、円建て価格は1グラム当たり300円超まで上昇しました。なお、買い占めに失敗したハント兄弟は、その後に破産しています。

出所:ドル建て価格はLBMA(The London Bullion Market Association)の月中平均値。円建て価格は三菱マテリアル(2012年~)、及び、田中貴金属(~2011年)が公表する小売価格(月中平均)から、筆者が消費税抜きベースに再計算。
2011年には太陽光バブルの大相場、バフェット氏も関連か?
2回目の大相場は、“ハント相場”から約30年後の2011年に起きた急騰相場で、この時も一時50ドル弱にまで上昇しました。きっかけは、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が、銀の年間供給量の20%を買い占めたとの発言です。
前回の“ハント相場”とは異なり、この時は太陽光発電向けに銀の特需が発生するという見通しもあったため、単なる買い占めとは異なりました。ただ、その後は前回同様に暴落して終わっています。この2度目の大相場は、“太陽光バブル”とか“バフェット相場”と呼ぶのでしょうか。
金やプラチナでは起こり得ない2度の大相場
過去2度の大相場は、個人(企業)が買い占めを示唆することで価格高騰が起きました。しかも、バフェット氏の買い占め発言の真偽は今も闇の中です。単なるポジショントークだった可能性もあります。
しかし、金やプラチナでは、このような人為的な大相場は起こり得ないと断言できましょう。それだけ、銀相場は脆弱なのです。
現在の銀価格はやや低迷が続く、大相場は三度起きるか
さて、現在の銀価格ですが、直近1年半は概ね15~16ドルで推移しています。この価格は10年前(2006年春)と比べて約+60%上昇しているのですが、2度目の大相場(2011年3月)に付けた高値から約▲70%下落した水準にあります。
2度目の大相場で期待された太陽光ビジネスが下火になりつつある現在、価格上昇はなかなか見込めないのが実情です。また、通貨の役割を持つとはいえ、金のような米ドルとの逆相関性も乏しい状況です。
しかし、2度あることは3度ある、大相場が3度起きる可能性は捨て切れません。単純な周期で見れば2040年頃でしょうか。ただ、銀は金と違って手頃な価格で買えますから、超スーパー長期投資として一考の価値はあるかもしれませんね。
【2016年3月16日 投信1編集部】
第一回 1980~1981ネルソン・バンカー・ハント(Nelson Bunker Hunt)兄弟買占め相場
第2回 2011~2012?太陽光発電関連使用目的ウォーレン・バフェット
第3回 前回高値70%安水準上がっても2~3倍税金手数料保管料で実質1.5倍
前回東京オリンピック百円銀貨=コイン商160円買占め大赤字!!wwwwww
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