ネクストライフ 作者:相野仁 七章「黄昏ゆく世界」 108/182
八話「ジ・エンド……?」
「百魔行!」
彼が気になったのは「魔王のゾンビ」の方である。
(魔王はゾンビ化出来ないはずだが……)
ありえるとするならば、生贄を捧げて儀式を行い召喚する「リビングデッド」だろうか。
「リビングデッド」は死者を呼び戻す禁呪である。
そしてそれは本来は死んで間もない者でなければならないのだが、この制限は
太古の霊魂すら現世へ呼べる高位のネクロマンサーであれば、ないも同然であろう。
「合わせて百の魔王と魔人が進撃する現象です。
メリンダ・ギルフォードによって討ち破られたそうですが」
五十の頭と百の腕を持ち、身長が十メートルはありそうな巨人、へカトンケイル。
そして見覚えがある巨大なスライム、バジリスク、スフィンクス、
グリフォンらと大量のゾンビ達が、ミスラの国土を蹂躙している様だ。
もう少し遅いとフレデリックらは助からなかっただろう。
デカラビア、ルーベンス、アルベルト、フランクリン、ザムエル、ラーム、
ガスターク、レーベラ、ルパート、センドリック、ゲーリックだ。
へカトンケイルは倒した気がしなかった魔王、ザガン
「イクソシズム」を繰り出した。もはや馴染みとなった、光の奔流が視界を埋め尽くす。
【ラディウス】 マリウスは躊躇なく一級魔法を行使
「俺のスキル“シェアリング”は他の者のスキルを共有させる事が出来るのだ!
つまり、デカラビアの“ラーニング”を共有し、お前の魔力と魔法の耐性を与えたのさ!」
「ディテクション」
「ザムエルの“ディヴィジョン”を使うとだ」
「十二体のアンデッドがそれぞれ十五万の分体を作り出す事になる。
お前の魔法が効かないアンデッドが百八十万
シェアリングの効果は凄まじい。
先天性、後天性問わず他者のスキルを全て我がものとして使えるし、
他者にも効果を分け与える事が出来るのだ。 メルゲンが使っているスキルの数は六つ。
フランクリンの消費魔力軽減と常時魔力回復で何体ものアンデッドの使役を可能にし、
デカラビアのラーニングでマリウスの攻撃に耐性をつける。
ザムエルのディヴィジョンで発生した大量の分体を維持し、操るのは
ザガンの思考分割だ。そしてゲーリックのトランスフォームで自然の一部に化ける。
「【アスピレーション】」 対象を所定の位置に引き寄せる転移系魔法の一つだ。
遠くにいる敵や物体をそばに寄せたり、逆に遠くに飛ばしたり、
あるいは味方を移動させる効果がある。
「【アニヒレーション】」
アウラニースは頷くとスキル「グレイプニル」を使う。 『結界』