ネクストライフ     作者:相野仁   三章「魔の足音」    40/182

五話「第一競技」


「絶え間なく吹き荒れる風よ、我の怒れる刃となりてかの存在を切り刻め
【ウィンドスラッシュ】
 暴風の刃が吹き荒れ、黒い円盤に叩きつけられる。
 中央の円盤が五千と表示し、前後左右の円盤が四千五百と表示した。
『ヘムルート選手、二万三千ポイント!』

 

「大地の嘆き、憤怒の業火、溶け合い神の裁きの鉄槌となりて、全ての存在を潰滅せよ

【ラーヴァフロー】
 五つの溶岩の弾丸が出現し、黒い円盤を激しく叩く。 
 表示されたポイントの合計点は二万七千二百。
『こ、これは凄い! 第三級魔法が飛び出したぁ!』
『まさに圧倒的強さ! フィリップ選手が一位になりました!』(暫定)

 

『ホルディア、アネット選手です』
「水よ、我が力となりて敵を穿ち抜きたまえ【ウォーターバレット】」
 アネットのポイントは九百三十ポイントだった。

 

『次は優勝候補、ルーカス選手です!』
「大渦よ、圧し潰せ【メイルシュトロム】
 中央が六千、他の四つが五千と表示する。
『出ました、二万六千! 二位につけました!』

 

「ランレオの王女バーラはドレス姿のまま前に出る。
「大地の嘆き、憤怒の業火、溶け合い神の裁きの鉄槌となりて、全ての存在を潰滅せよ

【ラーヴァフロー】
 五つの溶岩の弾丸が円盤状の計測アイテムを叩き、全てが六千の数字を出した。
『な、何と三万が出たーッ! フィリップ選手を抜いてバーラ選手がトップに躍り出ました!』
 

『続きましてはミスラのウォーレン選手! 今回は優勝候補から外れてしまいましたが、

それでも有力選手に変わりありません』
「雷よ、我が槍となりて全ての障害を薙ぎ払え【サンダーストーム】
 二十本の雷の束が計測アイテムを叩き、合計一万八千を記録した。

 

『ホルディアのミレーユ選手』
「黒き星、魔界より出でて朽ちゆく魂に安息をもたらせ【ディザスター】
 五つの黒球が出現し、槍状となってマジックアイテムに着弾した。
 中央が六千、他の四つは五千五百と表示する。
 『闇系第三級魔法! 二万八千を叩き出しました! 

 フィリップ選手を抜いて二位にランクインです!』

 

『フィラートのマリウス選手!』
『あのルーカスを差し置いて国賓魔術師となったんだから、楽しみだね』
「【ファイア】」
 マリウスは初めて本気で魔法を放った。
『な、何だこれはぁ! き、禁呪か!?』
『い、いや。ファイア……ただのファイアだね』

『あの計測器は五万以上の衝撃を食らわせなきゃ、壊れないんだから

二十五万でいいんじゃないかね。どのみち一位は確定的だしね』

 

順位と獲得ポイントは一位マリウスで二十五ポイント、二位バーラが二十ポイント、

三位ミレーユが十八ポイント、四位フィリップが十六ポイント、五位ルーカスが十五ポイント、

六位ヘムルートが十四ポイント、七位ウォーレンが十三ポイント……

そして最下位アネットが一ポイントとなった。
 国別だと一位がフィラートで四十ポイント、二位がランレオで三十六ポイント、

三位がセラエノの二十六ポイントだ。
 個人戦はさておき、国別では結局三強国が上位に並んでいた。

 

 「単純な戦闘力ではあなたの方が上かもしれませんが、私が持つスキルは

 “ディヴィジョン”。己自身と同等の攻撃力を持つ分体を作り出す事が出来るのです。

 そして最大作成数は十五万です」

 

 転移系魔法の一種「トランスミッション」を使った。
 己以外の存在を強制的に移動させる魔法で、かけられた会場内の全ての者達は

 遠く離れた王宮へと飛ばされる。

 

 「炎よ全てを蹂躙せよ【エクスハラティオ】
 一級の炎系攻撃魔法を全力で放つ。
 周囲に影響を残さないから禁呪指定されていないだけで、

 火力だけならばほとんど遜色のない、最強級の魔法の一つだ。

 

 「【メイルシュトロム】
 三級魔法でとどめをさした。

 

 「ザムエルは恐らくシャドウグラブの魔人……特殊能力はさておき、

 純然たる戦闘力はそこまでではありますまい」