ネクストライフ 作者:相野仁 第一章「死んだ男」 6/182
六話「遭遇」
(念の為、本気で行くか) 神言の指輪の力を使う事にした。
「<紅蓮の炎よ。我が障害を焼き尽くせ>【クレムゾン・ブレイズ】」
「クレムゾン・ブレイズ」の名を念じるだけで一瞬にして呪文が完成する。
これこそが「バランス崩壊の元凶」と仲間に呆れられた、神言の指輪の効果。
無詠唱で威力を全く落とさず魔法を発動させ、しかも使用後硬直が存在しないという、
魔法使いの弱点を消滅させるアイテムだった。
MMOではボスモンスターをソロで倒すなんて不可能である。
そんな常識を覆すのが、エキストラアイテムだった。
この世界でもその極悪さは変わらないと、マリウスの目の前で発生した
白い巨大な炎の壁が伝えてきた
(まず、防御結界からだな)
一撃で全滅させるのは困難だし、万が一にも巻き込まないという自信もない。
「<世界よ歪め、我が盾となり全ての力を退けよ>【ディメンションシールド】」
神言の指輪の力で魔法を使いながらも、自分で詠唱すれば
二つの魔法をほぼ同時に放てる。
「【トニトルス】」
「<我、降ろすは氷の墓標。全ては止まり全ては眠る>【コンゲラーティオ】」
空間が凍る。
巨大な氷の塊が上空に出現し、六頭のワイバーンを閉じ込めた。