少し前のお話ですが、とてもとても最高だった舞台のお話です。

 

 2020年2月22日~3月1日 築地本願寺ブディストホールで開催された、舞台『少年陰陽師 現代編・遠の眠りのみな目覚め』。

 公式サイトはこちら

 私は2月23日昼のトークショー、23日夜公演(Bチーム)、24日昼公演(Aチーム)を観劇させていただきました。

 

 こちらの原作は、角川ビーンズ文庫より刊行されている、結城光流先生の『少年陰陽師』シリーズの現代編。主人公は、かの有名な大陰陽師安倍晴明の孫・安倍昌浩……と魂のかたちが良く似通った中学生、安倍昌浩。有名なご先祖の代から使えてくれる十二神将たちや顔見知りの雑鬼たちとともに、現代に息づく妖異に立ち向かっていくお話です。現在、1巻『近くば寄って目にも見よ』と、今回の舞台の原作となった2巻『遠の眠りのみな目覚め』の2冊が刊行されています。そして、この現代編の基盤となっている平安編は、既刊50巻以上を数える息の長い作品です。

 そもそもが、私が所謂ライトノベルを読むようになったきっかけが、少年陰陽師シリーズでした。中学生の頃から10年以上追い続けている、大好きなシリーズ。

 だからこそ、不安もありました。

 ちゃんと受け入れられるのか。楽しめるのか。

 

 けれど、そんな不安は舞台開始直後に綺麗に吹き飛びました。

 少年陰陽師シリーズは、物語は勿論、キャラクターひとりひとりが本当に魅力的で、好きなキャラクター、好きなシーン、好きな台詞、挙げたら本当にきりがないほど。その原作の魅力を、そのまま舞台の上に作り上げているようでした。

 主人公・昌浩のまっすぐさ。彰子のためにと頑張る姿。

 昌浩を見守る紅蓮のあたたかさ。言動からにじみ出る、青龍の主を思う心。寡黙で揺るぎない六合の存在感。どこまでもクールな勾陳に、可愛らしく元気いっぱいの太陰。

 優しくたおやかなだけでなく、芯のある彰子。溌溂として、その奥に優しさの見える螢。良きお兄さんの雰囲気の比古。

 そして、孫想いの晴明。

 みんな本当に、大好きなみんなのまんま、目の前に来たように思いました。

 本当に楽しかった。キャラクターたちひとりひとりが原作通りに魅力的で、かっこよくて。同じ少年陰陽師ファンの周りのお客さんたちと、平安編の小ネタで一気に爆笑したりして。本当に、観に行くことができたことが幸せだったなあと思いました。

 

 そうそう、観劇のお供に、昔原作平安編全サでもらったもっくんシュシュをつけていきました。

 手首につけたもっくんシュシュの耳としっぽをもふもふわしゃわしゃしながら、「孫頑張ってるよ(孫じゃないけど)」の気持ち。

 鞄の中には原作現代編2冊と、primaniacsさんの昌浩の香水(ちょっとだけ手首にもつけてた)と、ビーンズ文庫展の時の缶バッチ。誰にもわからない原作ファンアピール(笑)

 

 ちなみに、ちょうど近くのデニーズでは、あまおういちごのフェアが開催中。リアル彰子体験できる!と偶然に感謝しながらいちごのパフェも食べてきました。おいしかった!

 いつかまた、昌浩たちに会えるといいなあ。是非続編を。そして円盤化を。

 

**以下、舞台の内容の直接的なネタバレあり。自分用のただの覚書です。記憶違いはご容赦ください**

 

 まず、なんといっても冒頭の昌浩と紅蓮のやりとり。

 「もうちょっと詰めろって……」のあたりで、「ん?これ、異邦の影を探し出せだっけ?」となったのは私だけでないはず。でもここで会話しているのがもっくんではなく紅蓮というあたりが現代編……!のっけからテンションが上がりっぱなし。

 そしてOPのかっこよさ!ひとりずつ主要キャラクターが登場するたびに「えっいる……実在してる……!」となる感動。どのキャラもすごくかっこいいんですが、個人的にすごく好きだったのは青龍!黒手袋!スリーピーススーツ!!長い脚での蹴りの動作がめちゃくちゃかっこいい!!!そして何より、舌打ちが!!!

 そう、青龍の舌打ち。OPで青龍が登場した後、紅蓮が登場して入れ替わるように青龍が一旦退くのですが、紅蓮が登場した途端に、マイクにのるかどうかくらいの小さい音で青龍が舌打ち!!!これ、2回観劇したうち、舞台が近かった時の公演しか気づかなかったんですよね。もう、何度これが聞けた幸運に感謝したことか。もうこれだけで、「あっ青龍だ」ってなる。ちなみに、もう一度青龍が舌打ちするシーンもあって、最初はそこで「青龍が不本意な命令に舌打ちしてる……!青龍だ……!!」ってなっていたのですが、このOPの舌打ちに気づいて本当に崩れ落ちるところでした。もしかしたらこのOPの舌打ちが一番青龍の青龍らしいシーンだったかもしれない。次点は、晴明に「何かあれば呼べ」って告げるところかな。この晴明があの安倍晴明ではないことはわかっているけれど、それでも主を気遣うところが本当に青龍。そして個人的には黒手袋、スリーピーススーツめちゃくちゃかっこよかった。ベスト姿でジャケット肩にひっかけてるのはちゃめちゃにすきだったし手袋はめてるとこもかっこよかった。まさか平安編初登場時に昌浩と一緒にしかめっ面になっていたあの青龍にこんなにかっこいいを連呼することになろうとは……。でも、やっぱり千年経って丸くなったのかなって思うのが、ラストあたりの台詞。「いずれ昌浩がすべて背負わなければならん」いやそれを青龍、お前が言うか!!と思った次の瞬間「そこそこにはなってもらわねば」……うん、青龍だ。いやでも青龍が言うからこそのこの台詞の重み。

 

 話が逸れました。いや、ちゃんとまとまって書くのは到底無理なんですが。

 気を取り直して、まず主人公たち幼馴染組。

 冒頭のレストランでの会話、彰子と螢に意見を聞いてもらえない比古がかわいい。優しいお兄ちゃん感がすごい。そういえば比古は年上の設定だったなあと意識する。幽霊話になって、力になれなくてごめんなさいと謝る彰子に優しい昌浩。と思いきや突然の低音「九流族に神祓衆だろ手伝えよ」に沸き起こる笑い。そして、「何かあっても、昌浩も螢ちゃんも比古ちゃんもいるから大丈夫」と言う彰子に、めいっぱい手を挙げて「俺がいるから!大丈夫!!」昌浩ー!このあたりは、現代編ならではというか現代編の舞台ならではの楽しさ!後ろでからかい気味に「私たちもいるんだけどなー」「なんなら騰蛇もいるんだけどなー」と半分棒読みな螢&比古がまたよき。

 平安編とからめた小ネタも楽しかった。比古の「八岐大蛇と十二神将は総力戦だったって聞いた」への螢の「比古何したの!?」「俺じゃねえよ!」に笑う。ここで笑った人は同士、是非平安編について語りましょう(笑)山ひとつ崩した……「覚えてないなあ」のすっとぼけ三闘将(紅蓮・勾陳・六合)好き。比古のお菓子もぐもぐしながら台詞言えてない紅蓮かわいかった。あと、名前だけ登場した成親兄上と夕霧と時守と氷知。昌浩の「夕霧と時守と氷知に半殺しにされる……」はシリアスなシーンなのにくすっと笑ってしまった。ここで笑った人は以下同文。

 

 紅蓮。

 途中から、本当にCV.小西克幸なんじゃないかと思うほどの紅蓮。本当に本物だ……と終始圧倒されていました。途中、昌浩に「ぬかるなよ」と声をかける場面があるのですが、ここ本当に「晴明の孫」と台詞が続くように錯覚してしまった。そしてその度、そうだこの昌浩は孫じゃないんだ……と。でも当の昌浩は、「晴明の孫」と言われて否定しないんですよね。改めて平安編と現代編の違いを感じさせられる。紅蓮たちからすると魂のかたちが似通った別人と割り切れるのかもしれないけれど、読者は無理です結城先生。

 小池支配人と岩本さんと林田さんに「神様!」される紅蓮かわいかった。24日昼のラスト、挨拶の時に比古と向かい合ってやってたのもかわいい。あ、あと挨拶の時に昌浩のほうを見る目がめちゃくちゃ優しくてすごく紅蓮。もう本当に感謝しかない。私も拝みたい。神様神様紅蓮様。次があるならお料理シーンとかあるともっと嬉しい。

 

 勾陳。

 とにかくかっこよかった!今回、十二神将の中では惜しくも活躍シーン少な目だったけれど、立ち姿のかっこよさ!しゃべった時に滲み出るクールさが本当に好き。「晴明」って呼ぶ声が。かっこいい。そしてふっと笑うところが本当に素敵。勾陳ー!出てくるだけでもう……好き……。

 

 青龍……はもう書いたので、六合。

 最初見た時はほっそ!?えっりっくん!?と思ったけれど、そういえば平安編でも甲冑着込んでましたねりっくん。舞台とは関係ないけどツイッターでの役者さんの「りっくんって言うな」は原作読んでいらっしゃるってことかな。かわいい。無表情でいて、舞台上にいるだけで存在感抜群。そしてちょっと表情豊かになったような気がするのはファンの欲目か?晴明の、雑鬼ーずについての話を遮るりっくんが個人的にすごく好きだった。あと、紅蓮との「わかった」のユニゾンめちゃくちゃ綺麗だった。あ、あと現代編での運転担当設定が残されてるのがわかる台詞があって嬉しかった。

 

 太陰。

 かわいいの一言に尽きる。本当に二次元から飛び出してきたかのような可愛さ。個人的お気に入りは、舞台の上に腰かけて足ぶらぶらしてるところと、話を聞いてきたという太陰の「くいっと!」。かわいい。その後自慢げなのもかわいいし比古をたたくときの力加減が強すぎるのもかわいい。本当に太陰らしさ全開の可愛さ。次は彰子と螢と一緒に甘いものに目を輝かせる太陰も見てみたい。

 

 晴明様。

 圧倒的存在感のじい様。本当にたたずまいに迫力があって、じい様だ!と。存在の説得力がすごかった。特に昌浩を彰子の夢の中に送る場面の詠唱の迫力が凄まじい。たたずまい、声の出し方からして違うんだろうなあと思うけれど、本当にすごいかっこよかった。

 比較的シリアスなシーンの多い中で笑いの起こる、「そろりそろり」。そして、「どこじゃ昌浩ー!とうっ!」。飛び降りるじい様かっこよすぎた。走り回るときの足さばきもすごい。着物であんな動けるものなんだと吃驚。

 転生石のくだりで、昌浩に「気づかなんだとはこの未熟者」と詰め寄るシーンは、思わず「くそじじい!」という空耳が聞こえたような気がするくらいの、平安編初期のほけほけしてるたぬきじじい感が。それでいて、離魂術を使えないといったり、昌浩に直接的に甘かったりするところは、やっぱり現代編だなあと。焦っていらいらしてるところを紅蓮に「急くな晴明」と諭されるあたり、平安編より少し若めなのかも?というか、紅蓮のこの台詞、どっちかというと青龍が言いそう。青龍が側にいないから紅蓮が言ったんだろうけど。でも紅蓮もいなければ勾陳か六合あたりが言ってくれる、たぶん。十二神将皆保護者説。

 平安編の展開がアレなので、じい様と昌浩の交流シーンを思い返すほど心に刺さる。昌浩の成長を喜ぶ晴明、昌浩を案じる晴明。平安編の晴明にはもうその時間さえないのかもしれない……いや平安編では昌浩ももうちょっと成長してますが。幼馴染組のシーンといい、じい様と昌浩のシーンといい、平安編を思うと穏やかで幸せな時間に本当に泣きそうになります。

 

 ……書く前からわかってはいましたが、全然まとまらないですね。

 あ、あと少ないですが気になった点とか不満点としては、①事前の情報発信がなかなかなくてやきもきした、②昌浩の真言が一種類しかない(「禁!」「縛!」とかでもいいからバリエーションが増えたらもっとよかった)、③OP青龍の登場シーンで青いライトが当たるから、原作あんまり知らない人には水将っぽく見えないか不安、そして何より④円盤化しない。会場が小さかったので機材スペースの関係とか色々あるのでしょうが、正直1か月以上経った今もロスを引きずっているのでどうか続編、再演、円盤化をお願いします。