…やばい。
何もわからない。
政治経済なんて一夜漬けで何とかなるだろうって思ったけど、何ともならない。
……どうしよう。
周りの人はさっさとペンを進めていて、私だけが全く動かない。
…やばい。
気持ちだけが焦って、パニックになって、意味のない線だけが濃く、太くなっていった。
「……勉強、してないでしょ。」
私の席は試験監督の真ん前だ。監督は私だけに聞こえるような小さな声で、聴いてきた。
……頷く。
「ダメだろ?ちゃんと勉強しないと。」
「…ごめんなさい。」
「俺に謝られても困るなぁ。
悪いと思ってるなら、もう一回起きてちゃんと勉強しなよ。」
「……え?」
私は初めて試験監督の顔を見て、
……ドキッとした。
「…まだ終わってないよ。」
……そこで目が覚めた。
気がついたら、夜の十一時で
私は勉強中に、眠ってしまったらしかった。
その夢のおかげなのか、何なのかわかんないけど
その後は、結構ちゃんと勉強できた。
……所詮一夜漬けだから、それなりの点数だろうけど
あの焦りから、救ってくれたのは
……夢の中に出てきた、あの人だったから。
あの人はいつも、悩んでるときに夢に出ては私を励ましてくれる。
…ありがとうございます。
もっともっと、強くなります。
あなたが私なんかの所に来なくても、自分の足でしっかりと
あなたに逢いに行けるように……。