
椿餅
椿い餅、梨、柑子やうのものども、様々に筥の蓋どもにとりまぜつつあるを、
若きひとびと、そぼれとり食ふ(源氏物語『若菜上』)
日本最古の餅菓子とも云われる、「椿餅」。
蹴鞠を楽しんだ若い衆が後宴にてはしゃぎながら椿餅を食べるその姿が、
源氏物語に記されています。
当時は、甘い小豆餡などがまだなかったため、餅粉(現在の道明寺粉)に甘葛
(あまづら、つたの汁を煮詰めたもの)を練りいれたものだったようです。
現在では、炒った道明寺粉と肉桂(にっき)を混ぜた茶色、
椿をイメージしてか桃色に染められたもの、フワフワな白い羽二重餅…
お店によって餡入り、餡なしもあるようで、その色や味は様々となりました。
ですが、俵型のお餅を瑞々しい緑の葉で挟んだその見た目は、
紫式部が目にしていたものとおそらく同じです。
椿の葉っぱの座布団にコロンとしたお餅が座り、頭にも葉っぱを一枚。
まだまだ寒いこの時期、遠く平安時代の人たちもこの椿餅を眺めていたのか、
と想像しながら、温かいお茶と一緒に頂くのも楽しそうです。