さて、今回いよいよ『戦車の防御 装甲編③【HEAT弾に関する誤解と中空装甲】』の中で『語っていなかった残りの1割』の話にとっかかる。


…のだが、どう説明したものか?……


どうしたって理科系の話や、数字・数値の話は避けられそうにもないのだが、そもそも小学校の「算数」という教科が中学で「数学」となった時に、この教科を学ぶを一度派手に諦めた人間(理科も含む)に説明できるものか?……と1分悩んだあとに『あーもー!面倒くせー!!!』で、今のいままでサボっていたくらい面倒な案件で、こうして記事にして入力している今も、いまだ何の仕掛けも工夫も思いついていない『グダグダ』の状況。


しかしこの説明をしないと『戦車の深淵』の一端は分からない『大変重要な残り1割』の説明をする。あーめんどうくせぇ。



🟠ニュートン(N)とは?


ニュートン(N)は、国際単位系(SI)における力の単位。1キログラム(Kg)の質量を持つ物体に1メートル毎秒毎秒(m/s2)の加速度を与える力を1ニュートン(N)と定義する。


単位の名称は、古典力学で有名なイギリスの物理学者アイザック・ニュートンに因んだもの。


100gの物体にかかる重力の大きさは1N(ニュートン)。つまり100gの物体を手の平の上におけば、1Nの大きさを感じるというわけ。


1Nは、約102g。1kgf=約9.8Nだ。(kgfをNに変換する際は9.8をかけるとおおよその数値が出る)。1N=約0.102kgfとなる(Nをkgfに変換する際は10で割るとおおよその数値が出るね。)




🟠パスカル(Pa)とは?


パスカル(Pa)は、圧力や応力の物理単位で、国際単位系(SI)の1つ。1Paは、1平方メートル(㎡)の面積あたりに1ニュートン(N)の力が作用したときの圧力。


パスカルは、ニュートン毎平方メートル(N/㎡)と同じ意味で、圧力の単位として用いることができる。気象の単元では、気圧の単位としてヘクトパスカル(hPa)を用いることなどを考え、パスカル(Pa)を主に用いている。天気予報などでよく使われているヘクトパスカル(hPa)は、100パスカルと同義。  気圧を表す場合は、接頭語 h(ヘクト)を用いて表される(1 atm = 1013.25 hPa)。


(「atm」はatmosphere(アトモスフィア)➡大気圧の略)ちなみに1気圧は海抜0mにおいての数値となる。


なんでこんな説明から始めてんだコイツ?と思っているかもしれないが、これから話すことを知るための『重要な基礎知識で入り口』だから、文系の人にゃ悪いが、あえて説明する。


覚えれば良し! 覚えられなくてもザックリそういうもんだ。と掴めば良し! どうせこれだけで展開出来る話ではない。このあと一端『箸休め的』な話になるが、そこから更に面倒な説明になる。


🟠モノは原子で出来ている


モノは肉眼ではぜっっったいに見る事が出来ないツブツブの『原子』で出来ている。その原子が2個ないし3個くっついたものが「分子」となるのだが、金属なんかは無数の原子がビッチリ集り結合した「集合体」で、戦車の材料に使われる鋼鉄も鉄原子の集合体なのだ。


気体は分子で存在し、個々の分子はこの時、結合していない。だからカタくないし手で掴むことも出来ない。



🟠フニャフニャとカチカチの違い


固体の話。


固体は原子と原子が持つ「腕と腕」が連結する事で、固体としての形を保っている。 だが、この原子の腕の『結合の具合』というものがあり、きっちり繋がっていなかったり、逆に強固に繋がっていたりしていて、原子同士が『きっちり繋がっていなかったら』モノは『フニャフニャ』と柔らかく、逆に原子同士がガッチリ繋がれば繋がるほど『カッチカチ!』になる。 厳密には説明通りではないのだが、この程度のイメージで『モノの硬さ・柔らかさ』を理解しても良い。



🟠鋼鉄は鉄の中でも『カッチカチ!』の鉄!


鉄は鉄原子が結合したもので硬い。だが、この鉄を溶かして冷やして塊にした鉄塊は結合が強まり更に硬く、この鉄塊を溶かして伸ばして叩いて作る『鋼鉄』はメチャメチャ硬い。  


1番のキモは『叩く(または強い圧力をかける)』である。叩いたり、圧力を加える事で、原子は『整列する』。整列すればするほど原子の腕は隣の原子の腕とくっつきやすくなる。 くっつけばくっつくほど、結合するほど硬くなり、カッチカチになっていく。


つまり鋼鉄は圧を加えて延ばすの工程を何度も何度もやっているから、カッチカチなのだ。これまた細かい事はすっ飛ばした大変荒い説明だが、概ねそういうものだと理解しておいてほしい。



🟠ダイヤモンドは『超絶カッチカチ』だが思わぬ『弱点』がある話


原子の結合が強いほどほどカッチカチならば、ダイヤモンドは当然最高の原子の結合体であり、だから確認されている物質の中で1番の『超絶カッチカチ』のモノ(物質)である。 硬さを表す指標として『モース硬度』というものがあり、モース硬度の数値は10段階で表示するが、ダイヤモンドはもちろんモース硬度の最高値10である。


『じゃあ!ダイヤモンドの鎧(よろい)があったら最高じゃん!』と思うかも知れないが、そうはいかない。「何故ならそんな鎧に出来るほどのデカいダイヤモンドは存在しないのだ。」なんて文系的な屁理屈を言うつもりはない。(笑)



「この鎧の素材がダイヤモンドなら、無双出来んじゃね?♪」と思うかもしんないが、残念でした♪



実はダイヤモンドは『案外簡単に割れる』のだ。


ダイヤモンドを硬い床、鉄板なんかをしいた床に置き、そこに鉄で出来たトンカチ(一般的な鉄のモース硬度は4〜4.5)を振り下ろせば、ダイヤモンドはパカン!と割れてしまうのだ。



⬆ダイヤモンド割っちゃうぜー♪



ダイヤが割れる理由は『靭性(じんせい)』の無さである。


靭性とは「しなやかさ」。加わった力をその場にとどめず、直ぐに隣に、更に隣に、更に更に隣に…と力を拡散・分散させる特性と言って良い。ゴムは硬さにおいてはダイヤモンドに全く敵わないが、しなやかさ、加わった力を拡散・分散させる能力はダイヤモンドより遥かに優れている。


裏を返せばモース硬度において硬さの数値が高い、原子同士の結合が強い物質ほど、硬さでは優れているが、その反面、加わった力をすぐに分散・拡散する靭性は低くなる側面があるのだ。


だからもし、「ダイヤモンドの鎧」がたとえ出来たとしても、デカいハンマーでぶん殴られるか、若しくは鉄砲の弾を受けると、十中八九で「パカン!!」と割れて、ダイヤの鎧を着ている君は高確率で死ぬ事になる。(笑)



戦車に使われてい部材、装甲材は鋼鉄である。「鋼鉄はカッチカチ」と前述したが、一方で鋼鉄には「適度な靭性」が備わっている。だから敵戦車の砲弾の弾を食らっても、鋼鉄の装甲が持つ靭性で、うまく撓(たわ)みながら、ある部分の一点で受けたエネルギーの衝撃を全体に分散・拡散させる特性もあるので貫通しない確率がダイヤモンドに比べれば遥かに高い。


地球上で最もありふれていて、安く、加工もしやすくて、硬く強くする方法も、逆に柔らかい仕上げにする方法も研究し尽くされている鉄は、戦車…というより今の武器全般には「最適の素材」であるといえる。


(もっとも最近は強化した軽いブラスチック素材が鉄部品にとって替わられている部分もあるが)


しかーし!その鋼鉄を撃ち破るのがHEAT弾である!いったいHEAT弾はどうやって鋼鉄の戦車の装甲を破るのか! そのわけは!!!


と言いたいが、すっかり疲れてしまったので、次回に持ち越す!!! 予想通りしんどい!!そして肝心の「ユゴニオ弾性限界」についていっこも触れずに終わる!



やっぱり「装甲の説明」で、残してきた最後の部分は鬼門である!!