本日は「1分単位の残業時間の計上」についてです。
近時、労働基準監督署の指導で、タイムカードの打刻時間に合わせて残業代を支給するように、との指導が目につくようになってきました。多くの会社行われている10分、15分、30分単位での残業時間計上において、この単位時間に満たない時間を切り捨てる、ということに対する指導です。たとえば、18時終業の会社で、15分単位の残業時間計上を行っている場合、18時10分にタイムカードを打刻したときは、10分が切り捨てとなりますが、これをちゃんと10分計上しなさい、ということです。
この指導については、現場の肌感覚として違和感を抱かざるを得なかったのですが(たとえば、先ほどの事例の会社が300人の事業場で、18時に一斉にタイムカードを打刻しに行ったら、最後に打刻する人は、18時ちょうどに打刻できるということは、あり得ません。)、このモヤモヤを解消してくれる書籍がありましたので、ご紹介します。
石嵜信憲弁護士編著の「労働行政対応の法律実務」(中央経済社)です。同著によれば、デスクワークを主たる業務とするホワイトカラーの場合、10分、15分ほどの時間は、サッカーのロスタイムのようなもの(とはいっていませんが)で、たとえば私語の時間、コンビニに買い物に行く時間、たばこの時間などは、業務を行っていませんので、本来、賃金の支給対象になりません。ですが、これを大目に見て、賃金を支給している訳なので、この分はカットします、という考えを取られています。
これは、現場の肌感覚には、実にマッチする考えだと思います。現にそのように腹落ちさせている従業者も多いのではないでしょうか。業務時間中、無駄話もせず、8時間も業務に集中している、という人は、まず居ません。
これに対して、労働基準監督官は、次のように応戦します。「ならば、ロスタイムが10分、15分あったことを証明しなさい。」と。
これにも、同著では明快な回答を用意されています。すなわち、「司法警察官の権限を持った労働基準監督官の行う行政指導は、刑事事件に発展することを前提に行われるもので(あり)、・・(中略)・・その手続きは、刑事法の考え方に則って、つまり刑事手続の考え方に従って行われるべきもので、・・(中略)・・、したがって、刑事手続の場合、企業が労基法に違反したという事実、つまり実働8時間を超えて労働に従事させたことの主張立証責任は、労働基準監督官にあると考えるべき」と説明されています。
本日のラーメン画像。万世の「パーコーざる野菜のせ」。(本文と画像は関係ありません。)
